質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第七六号

性同一性に対する政府の認識に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年五月十七日

辻元 清美


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   性同一性に対する政府の認識に関する質問主意書

 性自認という用語については、自治体の条例、行政の各種計画、判決等で既に広く使われている。岸田総理も、令和五年三月二十八日の参議院予算委員会において、私の質問に対し「政府としては、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見、これはあってはならないと考えており、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にする、生き生きとした人生を享受できる社会を実現していく、こうした方向で取組を進めていく所存です。その大きな方向性も今申し上げたとおりであります。その中で、今現実の課題について一つ一つ丁寧に取り組んでいきたいと考えています。」と答弁している。

 一方、性同一性という用語については、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律において、障害の位置付けとして使用されてきた用語の「障害」部分を削った用語であり、当該用語自体が差別的文脈を有しているとの指摘もある。そのため、法的効果が変わりうるとともに、明確な法的効果に至らずとも、その運用は文脈を踏まえたものにならざるを得ないと懸念される。現に、自治体における条例等の立法経緯・立法経過としては、「性同一性障害から性自認へ」と変わってきた歴史があると指摘する専門家もいる。

 以下質問する。

一 「性同一性」という単語が単独で、法令に使われた事例はあるか。

二 「性同一性」という単語が単独で、法令に使われてこなかった背景には、今まで性同一性障害の文脈で使用されてきた歴史的経緯からして、当該単語自体が差別的文脈を有しているからであると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。

三 差別的文脈を有する単語を法令用語として使う場合には、差別性を払拭し、相当程度の慣用的使用を積み重ねるために相当数の時間が必要であり、「性同一性」という単語はそうした時間と理解があった後に使われるのが好ましい用語であると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。

  右質問する。