質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第七三号

インジウム等の水質基準に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年五月十一日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   インジウム等の水質基準に関する質問主意書

 インジウム等(労働安全衛生法施行令別表第九に規定されている「インジウム及びその化合物」をいう。以下同じ。)はパソコン、テレビ、携帯情報端末等の薄型ディスプレイ、タッチパネルの製造に欠かせない物質である。近年まで、インジウム等は無害だと信じられてきたが、最近になって発がん性が確認されてきた。これによって、事業者は、インジウム等のうち一定の重量パーセント以上のものを製造し、又は取り扱う作業に労働者を従事させるときは、特定化学物質障害予防規則第三十八条の七に規定される措置が義務付けられる等、労働者の健康を守るための法令上の責務を遵守しなければならなくなったのである。

 しかしながら、インジウム等は、水質基準に関する省令五十一項目のいずれにおいても管理されておらず、また、水質汚濁防止法施行令第二条で規定される二十八物質でもなければ、同施行令第三条の三に規定される六十物質でもない。つまり、インジウム等は、いくら含まれていようと飲み水に供することは合法であり、いくら下水として排出しようと合法となる。

 もちろん、特定の物質について、当該物質の粉塵を吸入する場合と、当該物質の水溶液を摂取した場合において、リスクが違うことがあることは承知している。しかしながら、発がん性が確認されたインジウム等が上下水道いずれの基準にもないのは一抹の違和感を覚える。特に、政府は「インジウム・スズ酸化物等の取扱い作業による健康障害防止に関する技術指針」において「作業着は事業場内で洗濯すること。」等、インジウム等が洗濯排水として排水されることが予定された作業をするよう技術指針を定めていることから、インジウム等が含まれる水が排水された後の環境負荷についても考慮してしかるべきではないか。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 インジウム等のヒトにおける発がん性について、現時点で政府が把握している情報を示されたい。

二 インジウム等が含まれる水をヒトが飲んだ場合の有害性について、現時点で政府が把握している情報を示されたい。

三 インジウム等が水質基準に関する省令で管理すべき項目に規定されていないのはなぜか。

四 インジウム等が水質汚濁防止法施行令第二条に規定されていないのはなぜか。また、同施行令第三条の三に規定されていないのはなぜか。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。