質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第六六号

広域避難計画策定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年四月二十八日

山本 太郎


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   広域避難計画策定に関する質問主意書

 原子力災害対策特別措置法は、原子力規制委員会に対して原子力災害対策指針の策定義務を定めているが、同指針に避難計画の策定を義務付ける規定はない。

 一方、災害対策基本法では、同法の対象となる「災害」の中に原子力は明確に規定されていない。また、同法が規定する都道府県と市町村の責務の中に事前の計画作成の規定はあるものの、他の規定から見て自然災害のみを想定しているのは明白で、原子力災害の避難計画がここに含まれるものとは解釈できない。

 つまり、自治体に原子力災害避難計画の策定を義務付ける法的根拠がない、あるいは不明である。

 このことに関連して、以下のとおり質問する。

一 原子力発電所(以下「原発」という。)から概ね三十キロメートル圏内の自治体に原子力災害に備えた広域避難計画の策定を義務付ける法的根拠を示されたい。

二 策定が法的に義務付けられているとすれば、原子力災害の特性上、三十キロメートル圏外の自治体にも避難者を受け入れる義務付けが必要になるが、その法的根拠を示されたい。

三 国はこれまで原発の再稼働に関係なく避難計画の策定は必要との見解を示してきたが、策定が法的に義務付けられているとすれば、再稼働の如何によらず策定に着手してから既に十年が経過するにもかかわらず、いまだ策定できていない自治体は違法状態ではないか。違法状態ではないと言える法的な根拠を示されたい。

四 東海第二原発避難計画策定に際して内閣府の東海第二地域原子力防災協議会作業部会と同日時・同会場で茨城県主催の広域避難計画に関する勉強会が開催され、この勉強会に関しては内閣府として議事概要や配付資料の公表を行っていない。少なくとも以下の同協議会作業部会と同日時・同会場で茨城県主催の広域避難計画に関する勉強会が開催され内閣府の職員も参加していることが、県による勉強会記録から明らかになっている。

 第四回・東海第二地域原子力防災協議会作業部会

 第七回・東海第二地域原子力防災協議会作業部会

 第八回・東海第二地域原子力防災協議会作業部会

 第十回・東海第二地域原子力防災協議会作業部会

 第十一回・東海第二地域原子力防災協議会作業部会

1 事前調整しなければ同日時、同会場で会議を行うなどということはできない。県勉強会ということにすればいくらでも検討内容を隠すことができるが、これが適切と言えるのか。今後も行う予定があるか。

2 二〇二三年四月十九日の参議院東日本大震災復興特別委員会において、西村大臣は「勉強会と称して隠れみのでやっているかどうかはこれは分かりませんけれども、先ほど申し上げたように、地域防災協議会、また作業部会においての議論はできるだけ透明性を持って情報公開できるように努めておりますし、また、こういった勉強会、今御指摘ございましたので、またこの在り方については、しっかり山本委員の御指摘を受け止めながら検討させていただきたい」と答弁した。

 作業部会の運営の在り方と、それに関連する県の勉強会の在り方についてどのように検討し、その検討結果はどのような形で公表するつもりか。

3 東海第二原発以外の対象地域で、地域原子力防災協議会作業部会と同日時・同会場で自治体の主催による避難計画に関する会議・勉強会を開催し内閣府担当者が出席した事例は何件あるか、その全てについて開催日時・会場・内閣府からの出席者を示されたい。

4 東海第二原発を含む全ての対象地域で、地域原子力防災協議会作業部会と別日程で開催された自治体による避難計画に関する会議・勉強会に内閣府職員が出席した事例は何件あるか、その全てについて開催日時・会場・内閣府からの出席者を示されたい。

5 自治体主催の避難計画に関する会議・勉強会に内閣府職員が出席する際に、内閣府職員の派遣・出席に関わる費用は内閣府の予算から出されているか、あるいは自治体の予算から出されているか。その経費支出の詳細を示されたい。

  右質問する。