質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第五三号

束ね法案及び新規制定の法律案に関する第三回質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年四月七日

吉川 沙織


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   束ね法案及び新規制定の法律案に関する第三回質問主意書

 私が提出した「束ね法案及び新規制定の法律案に関する再質問主意書」(第二百十一回国会質問第四一号。以下「前回主意書」という。)に対する答弁書(内閣参質二一一第四一号。以下「前回答弁書」という。)を踏まえ、改めて質問する。

一 前回主意書の一において、「令和元年から令和五年までの五年間の常会に提出された又は提出する新規制定の法律案について、既存の法律の規定の特例となる内容を規定しようとするものの件数」を質問したところ、前回答弁書の「一について」では、「「新規制定」の法律案のうち、法律案の題名に「特例」又は「特別措置」が含まれるものの数」が答弁された。新規制定の法律案の題名に「特例」又は「特別措置」が含まれていないものであっても、その内容を見ると、複数の既存の法律の規定について特例を設けようとするものもありうる。また、「「既存の法律の規定の特例となる内容」の意味するところが必ずしも明らかではない」とされたが、例えば、「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案」(第二百十一回国会閣法第一号)は、「特別会計に関する法律」(平成十九年法律第二十三号)、「独立行政法人国立病院機構法」(平成十四年法律第百九十一号)及び「独立行政法人地域医療機能推進機構法」(平成十七年法律第七十一号)の規定について特例を設けようとしている。この例のような法律案でその題名に「特例」又は「特別措置」が含まれていないもの及び前回答弁書の「一について」で政府が答弁した法律案の題名に「特例」又は「特別措置」が含まれているものは、政府が答弁する束ね法案の件数に含まれるのか明らかにされたい。

二 前記一で例示したような法律案は、複数の既存の法律の規定について特例を設けることによって既存の法律による法的効果とは異なる法的効果を得ようとするものであり、その意味においては、複数の既存の法律の規定を改正する束ね法案と類似することとなる。そのため、前記一で例示したような、複数の既存の法律の規定について特例を設けようとする新規制定の法律案については、束ね法案と同様に、国会審議の形骸化を招来するとともに、国会議員の表決権を侵害しかねず、また、どの法律がどのように改正されるのか等が国民に分かりづらくなり、適切な情報公開とはならないおそれをはらんでいるとも考えられるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 政府は、前回答弁書の「二、三及び五について」において、「「近年において束ね法案が相対的に増加している」との認識(中略)は有していない。」と答弁している。しかし、近年において束ね法案が相対的に増加していることは、前回主意書の二で数値を挙げて具体的に示したとおりであり、これは私の質問に対する政府の答弁(内閣参質二一一第二六号)に基づいているのであるから、認識を有していないとの政府の答弁は甚だ疑問である。近年において束ね法案が相対的に増加していること自体は、客観的事実として認めるべきではないか。政府の見解を示されたい。

四 前回主意書の四において、政府が束ね法案の形式で国会に提案してきた結果、私が再三指摘してきた束ね法案の問題点が生じかねないことについて、提案者たる政府としてどのように認識しているのか問うたところ、前回答弁書の「四について」では、「丁寧な説明や内容の周知に努めてきた」との答弁はあったものの、「国会の審議の在り方は、国会で御判断いただくもの」と従来の答弁を再び行っている。国会審議の在り方は国会が判断するのは当然であって、ここで問うているのは、法案の審議を願い出る立場にある政府として、束ね法案という形式であっても国会審議の形骸化を招来することや国会議員の表決権を侵害することはないとの認識の下で、束ね法案の形式で提案しているのかということである。改めて明確に答弁されたい。

五 私が提出した「束ね法案に関する第三回質問主意書」(第百九十回国会質問第七九号)の六において、「各省等の所管である法律の改正を内閣官房の所管で行おうとするのは、内閣の重要施策について、内閣官房・内閣府が政策の方向付けに専念し、各省等が中心となって政策を推進することができるよう、内閣官房等のスリム化を図った「内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律」(平成二十七年法律第六十六号)の趣旨に逆行する」ことを指摘したところ、これに対する答弁(内閣参質一九〇第七九号)では、同法は、「国の行政機関が、全体としてその機能を最大限発揮できるようにし、内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能を強化することを趣旨とするものであり、各省等の所管する法律の改正に関する事務を内閣官房の所管で行うことがその趣旨に逆行するとは考えていない」との答弁があった。

 しかし、その後の状況を見るに、私の質問に対する政府の答弁(内閣参質二一一第二六号)でも片鱗が明らかになったように、各省等の所管する法律の改正に関する事務が依然として内閣官房において数多く行われており、また、内閣官房及び内閣府には法改正により多くの事務が追加されている。「内閣官房及び内閣府の業務の見直しについて」(平成二十七年一月二十七日閣議決定)に基づき見直された内閣官房及び内閣府の業務は、再び、肥大化の過程にあるのではないか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。