質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第四八号

環境省の広報活動等の改善に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年三月三十一日

舟山 康江


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   環境省の広報活動等の改善に関する質問主意書

 令和五年二月二十七日、山形県酒田市に本社を置く株式会社チェンジ・ザ・ワールド(以下「チェンジ社」という。)が東京地方裁判所に対して、負債総額三十八億円超、債権者約一万二千人に上る破産手続の申立てを行い、開始決定が下された。

 チェンジ社が運営していた「ワットストア」事業は、太陽光を中心とする再エネ発電設備を小口に分けて販売し、売電収入を還元するというビジネスモデルであり、預託等取引に関する法律(以下「預託法」という。)で規制される販売を伴う預託等取引、いわゆる販売預託に該当する疑いが指摘されている。仮に、販売預託に該当すれば、一昨年の法改正を経て、預託法が施行された昨年六月一日以降、消費者庁による確認を経ずになされた勧誘や契約の締結は原則違法であり、重い行政処分及び罰則の対象になりうる。なお、預託法の改正・施行に向けた政府の動きとしては、販売預託による被害が続出していることを受けて、消費者庁が設置した「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」が令和二年八月に、販売預託の原則禁止との大枠の改正方向を示す報告書を決定している。

 しかしながら、令和二年十一月に環境省が主催する第八回グッドライフアワードにおいてチェンジ社に対して実行委員会特別賞のサステナブルデザイン賞を授与するとともに、環境省が提供するポータルサイト「「再エネ スタート」はじめてみませんか 再エネ活用」(以下「再エネ スタート」という。)にも、チェンジ社のワットストア事業の紹介記事を掲載していた。さらには、チェンジ社が販促資料の中で、信頼できる会社であることの裏付けとして、前記の賞の受賞実績を記載していたこともあいまって、環境省の姿勢に対して、重大な責任を問う声が寄せられている。

 そこで、環境省によるこれまでの広報活動の在り方を検証し、環境行政への信頼回復を図る観点から、以下質問する。

一 「再エネ スタート」は、個人、事業者、地方自治体を対象とした再生可能エネルギーの導入・設置・調達の推進を目的として、地方自治体、非営利団体、事業者等における再生可能エネルギーの導入、電力切替えなど、推進の後押しとなる取組を公募し、内容を確認した上、ウェブサイト上に掲載するとしている。環境省は、掲載申込みの利用規約における注意事項として、ウェブサイトへ掲載しない、又は掲載を取りやめる場合を列挙しているが、このうち注意事項(三)「法令や公序良俗に反する行為、不当な利益を得ることを目的とする行為をした場合」に該当するかどうかを判断するため、事業者に提出を求めている証明書類、事業者や関係省庁からの聞き取り、当該事業者のホームページ等の公開情報の確認など、具体的にどのような調査を行っているのか、その方法及び内容について明らかにされたい。さらに、掲載の適正さを担保するために、どのような資格や経験を審査担当者の要件としているかを具体的に明らかにされたい。

二 環境省は、「再エネ スタート」に掲載されたチェンジ社のワットストア事業の紹介記事(https://ondankataisaku.env.go.jp/re-start/interview/32/)を削除したと承知しているが、掲載年月日、削除年月日、利用規約における注意事項のどの項目にどのような理由で該当したために削除したのか、具体的に明らかにされたい。

三 「再エネ スタート」に掲載されていた株式会社二〇五〇エナジーが運営している「パネシェア」事業の紹介記事(https://ondankataisaku.env.go.jp/re-start/interview/58/)が削除されたと承知しているが、掲載年月日、削除年月日、利用規約における注意事項のどの項目にどのような理由で該当したために削除したのか、具体的に明らかにされたい。

四 令和二年五月の第三回特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会の事務局作成資料「販売を伴う預託取引などの現状について」の中で、販売預託の事例として、太陽光発電に関するケースが紹介されていたことを、環境省はいつの時点で、どのような形で知ったか、また、「再エネ スタート」へのワットストア事業、パネシェア事業の掲載判断時に販売預託の問題性などをどのように勘案したのかを、具体的に明らかにされたい。

五 本年三月十六日の参議院消費者問題に関する特別委員会において、前記のパネシェア事業が販売預託に該当するかどうかを尋ねた質問に対して、消費者庁は「個別の事案ですので、(中略)お答えは差し控えさせていただきたい」と答弁している。仮に、預託法違反の懸念が掲載取りやめの理由である場合、同法の所管省庁である消費者庁が同法への違反の有無を明確にしていない状況にある中、環境省による掲載取りやめは同社の事業活動を不当に害していないのか、政府の見解を明らかにされたい。

六 前記五の参議院消費者問題に関する特別委員会において、前記のパネシェア事業を掲載した理由を尋ねた質問に対して、環境省は「掲載を取りやめることがあることを規定してございますので、今後、その事実の進捗に即して判断をしてまいりたい」旨の答弁をしたが、具体的にはどのような事実の進捗に即して、掲載取りやめを決定したのか、明らかにされたい。

七 「再エネ スタート」には開設当初は存在しなかった免責事項に関するページが設けられ、掲載情報の正確さについては万全を期しているが、環境省は利用者が当ホームページの情報を用いて行う一切の行為について、何ら責任を負うものではないとの考えが示されている。免責事項の掲載年月日、掲載背景及び理由を明らかにされたい。また、仮に、「再エネ スタート」への掲載を動機として、各種法令に違反している商品・サービスを購入して損失を被った場合においても、環境省及び同省職員が法的責任を負うことは一切ないのか、明らかにされたい。

八 環境省が主催するグッドライフアワードの選考過程及び選考後に、選考対象者又は受賞者が法令や公序良俗に反する行為、不当な利益を得ることを目的とする行為を行っていないかを確認しているのか明らかにされたい。また、確認している場合は、事業者に提出を求めている証明書類、事業者や関係省庁からの聞き取り、当該事業者のホームページ等の公開情報の確認など、具体的な調査方法及び内容について明らかにされたい。さらに、適正な審査を担保するために、どのような資格や経験を審査員の選考要件としているのかについても具体的に明らかにされたい。

九 環境省は、事業者が自身の信頼性を高めるために販促資料にグッドライフアワード賞の受賞実績を記載する販売手法を容認しているのか、容認していない場合、受賞者によるそうした販売手法を防止するためにいかなる対策を講じていたのかについて明らかにされたい。

十 第八回グッドライフアワード受賞者紹介ページ(https://www.env.go.jp/policy/kihon_keikaku/goodlifeaward/winner-vol8.html)から、チェンジ社に関する記載を削除した年月日、削除理由を具体的に明らかにされたい。

十一 第八回グッドライフアワード受賞者紹介ページでは、一時期はチェンジ社に関する記載を一切削除し、現在は「他一件」と記述している。新たに「他一件」と記述した年月日、記述理由、また、注意書きを付さなかった理由を具体的に明らかにされたい。

十二 前記五の参議院消費者問題に関する特別委員会において、チェンジ社のワットストア事業が販売預託に該当するかどうかを尋ねた質問に対して、消費者庁は「個別の事案ですので、(中略)お答えは差し控えさせていただきたい」と答弁している。仮に、預託法違反の懸念が第八回グッドライフアワード受賞者紹介ページからの削除の理由である場合、預託法の所管省庁である消費者庁が預託法違反の有無を明確にしていない状況で、削除する合理的な理由があると言えるか。また、仮に、チェンジ社が破産申請に至ったことが削除の主たる理由である場合、結果として、新たな事業分野を開拓し、果敢に創業に挑もうとする他の事業者の意欲をそぐことになり不適切ではないのか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。