質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第四五号

インフルエンザ脳症を発症する要因等や研究に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年三月二十七日

浜田 聡


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   インフルエンザ脳症を発症する要因等や研究に関する質問主意書

 インフルエンザ関連脳症(以下「インフルエンザ脳症」という。)について、平成二十一年九月に厚生労働省において公表されている「インフルエンザ脳症ガイドライン(改訂版)」(以下「インフルエンザ脳症ガイドライン」という。)によると「平成十七年十一月、インフルエンザ脳症のガイドラインを公表してから、約四年が経過しました。(中略)無治療では約三十%であった致命率がこの数年八~九%と改善しました。しかし、その一方、後遺症を残す子どもは約二十五%と変化はなく、相変わらず重篤な疾患であることには変わりはありません。」との記載がある。さらに、厚生労働省の厚生労働科学研究「インフルエンザ脳症の発症因子の解明と治療及び予防方法の確立に関する研究」(二〇〇五年度)の「専門的・学術的観点からの成果」では、「インフルエンザ脳症は、ウイルスが脳で増殖して起きるのではなく、感染を引き金としてサイトカインストーム及び血管内皮細胞の障害が生じ、全身の諸臓器でapoptosisが進行する。一部の小児に発症するのは、ウイルス側の要因ではなく、宿主側の遺伝的要因(遺伝子多型の存在)に起因することが、SNPs解析の結果から示唆された。感染症の重症化について、それに関与するSNPsが明らかになったのは極めて重要な知見と思われる。」との記載がある。他方、国立感染症研究所ホームページ「インフルエンザ脳症について」には、「インフルエンザ脳症に関しては、日本からの報告が多く、また、小児例が報告の中心である」との記載があるものの、発症要因について、または危険性等の判断・見解について、明確な見解は示されていない。インフルエンザ脳症に関する研究の進捗について、デマなどの情報に惑わされないよう国民へ正確な情報を示す必要性があるものと考え、以下質問する。

一 インフルエンザ脳症を発症する要因等について、現時点での政府見解如何。

二 インフルエンザ脳症ガイドラインは平成二十一年九月に公表されており、公表から約十四年経過しているが、公表後から現在まで研究等により明らかとなったインフルエンザ脳症に関する新たな情報があれば示されたい。

三 SNS等のインターネット上の情報では、インフルエンザ脳症を発症する要因として、インフルエンザワクチン接種あるいは解熱剤服用が直接の要因となるとの主張が見受けられるが、現時点での政府見解如何。

四 前記三について、インフルエンザワクチン接種あるいは解熱剤の服用とインフルエンザ脳症との因果関係が認められる、または認められないという研究資料等があれば、詳細を示されたい。

五 前記三について、SNS等のインターネット上の情報では、インフルエンザ脳症に限らず、ワクチン接種あるいは解熱剤の服用が、髄膜炎や脳炎、脳症等脳へ重篤なダメージをもたらす疾患等との直接の要因となるという主張があるが、現時点での政府見解如何。

六 前記五について、インフルエンザワクチン接種あるいは解熱剤の服用と髄膜炎や脳炎、脳症等脳へ重篤なダメージをもたらす疾患等との因果関係が認められる、または認められないという研究資料等があれば、詳細を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。