質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第四一号

束ね法案及び新規制定の法律案に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年三月十六日

吉川 沙織


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   束ね法案及び新規制定の法律案に関する再質問主意書

 私が提出した「束ね法案及び新規制定の法律案に関する質問主意書」(第二百十一回国会質問第二六号。以下「前回主意書」という。)に対する答弁書(内閣参質二一一第二六号。以下「前回答弁書」という。)を踏まえ、改めて質問する。

一 令和元年から令和五年までの五年間の常会に提出された又は提出する新規制定の法律案について、既存の法律の規定の特例となる内容を規定しようとするものの件数を明らかにされたい。既存の法律が複数の場合は、何件の法律の特例を規定しようとするものであるのかについても分かるように掲記されたい。

二 私が提出した「束ね法案に関する質問主意書」(第百九十回国会質問第三三号)に対する答弁書(内閣参質一九〇第三三号)の「一について」において、平成十八年から平成二十七年までの十年間の常会に内閣が提出した束ね法案(本則において二以上の法律の改正又は廃止を行う法律案)の件数及び内閣提出法律案に占める割合が明らかにされた。これを基に当該十年間の平均を算出すると、二十九・二件、三十六・三パーセントとなる。

 また、前回答弁書の「一及び二について」において、平成二十八年から令和五年までの八年間の常会に内閣が提出した束ね法案の件数及び内閣提出法律案に占める割合が明らかにされた。これを基に当該八年間の平均を算出すると、二十七・九件、四十五・八パーセントとなる。さらに、令和元年から令和五年までの五年間の平均を算出すると、二十八・四件、四十七・三パーセントとなる。

 これら平均を比較すると、件数にはさほど違いは見られないものの、内閣提出法律案に占める割合は、近年、明らかに増加していることが分かる。政府は、近年において束ね法案が相対的に増加していることを認識した上で国会に束ね法案を提出してきたのか明らかにされたい。

三 平成十八年から平成二十七年までの十年間の常会における内閣提出法律案の件数の平均は八十・五件、平成二十八年から令和五年までの八年間の常会では六十・九件、令和元年から令和五年までの五年間の常会では六十・〇件であることから、常会への内閣提出法律案の提出件数が減少していることが分かる。このことが、束ね法案が相対的に増加していることの要因となっていると考えられるところ、内閣提出法律案の提出件数を絞るために法律案を束ねて提出しているのではないかとの疑念も湧く。そのような動機は一切ないと断言できるか、政府の見解を示されたい。そのような動機はないとする場合、内閣提出法律案の件数が減少している理由を説明されたい。

四 束ね法案の問題点について、私はこれまで、国会質疑や質問主意書において再三にわたり指摘してきた。政府がどのようなときに束ね法案を提出することができると考えているのかはこれまでの答弁から承知しているが、束ね法案として提出した結果、指摘してきた問題が生じかねないことについて政府はどう考えているのか。政府として束ね法案の形式で提案している以上、指摘された問題点に対し政府としてはどのように考えているのかを誠実に説明することは政府の責務である。次の1から4について、それぞれ政府の見解を明らかにされたい。

1 束ね法案は国会審議の形骸化を招来すること。

2 束ね法案は国会議員の表決権を侵害すること。

3 束ね法案はどの法律がどのように改正されるか等が国民に分かりづらくなること。

4 束ね法案は適切な情報公開とならないこと。

五 前記二で明らかなように、束ね法案は相対的に増加している。政府において、束ね法案の件数及び内閣提出法律案に占める割合が低減するよう努めていくとの考えはないのか明らかにされたい。

六 前回答弁書の「六について」において、「内閣提出法律案の整理について」(昭和三十八年九月十三日閣議決定)を閣議決定することとした目的及び七項目の内容に係る取決めが必要であった理由・背景について確認することは困難である旨の答弁があった。当該理由・背景の確認が困難であるにもかかわらず、内閣提出法律案の立案を行うに当たり、なぜ同閣議決定文書の趣旨にのっとることができるのか説明されたい。

七 政府は、「内閣提出法律案の整理について」の4にある「その趣旨、内容において密接な関連がある二以上の改正法律案であって、付託される常任委員会が同一であることその他の事情により統合することが適当なものは、統合して提出すること」との記述は、「常任委員会が同一であることを例示として、諸般の事情により、統合することが適当な法案は、統合して提出することとしているもの」であるとしている(「束ね法案に関する再質問に対する答弁書」(内閣参質一九〇第四九号))。

1 「付託される常任委員会が同一であること」以外の「諸般の事情」を例示されたい。

2 政府は、束ね法案の国会への提出に当たり、「付託される常任委員会が同一であること」を勘案しない場合があるのか否か明らかにされたい。

3 政府は、「法案に盛られた政策が統一的なものであり、その結果として法案の趣旨・目的が一つであると認められるとき、あるいは内容的に法案の条項が相互に関連して一つの体系を形作っていると認められるとき」に束ね法案を提出できるとしている(内閣参質一九〇第三三号ほか)。この答弁と前記の「その他の事情」、「諸般の事情」とはどのような関係にあるのか明らかにされたい。

八 前回答弁書の「七について」において、「「○○法(律)」で挙げられている法律」を主として所管していた府省等以外の府省等が法律案の閣議決定に係る主請議府省等となった最新の五件は、いずれも、内閣官房が当該主請議府省等であることが明らかにされた。そして、当該五件の法律案は、一件は特別委員会に、残り四件は内閣委員会に付託されている。このことは、「○○法(律)」とともに束ねられている他の法律が、「○○法(律)」を主として所管していた府省等を所管する常任委員会の所管ではないことから、「付託される常任委員会が同一であること」の要件に反しないようにするため、内閣官房を主請議府省等とすることで、内閣委員会に付託されるようにしたものではないか。また、前回答弁書の「八及び九について」において政府は諸々述べているが、「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」についても右と同様に、「付託される常任委員会が同一であること」の要件に反しないようにするため、内閣官房を主請議府省等とすることで、内閣委員会に付託されるようにしたものではないか。政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。