質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第三二号

横浜ノース・ドックに米陸軍揚陸艇部隊が新編される方針に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年三月二日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   横浜ノース・ドックに米陸軍揚陸艇部隊が新編される方針に関する質問主意書

 米軍が軍事物資などの輸送拠点として使用する「横浜ノース・ドック」(以下「ノース・ドック」という。)(横浜市神奈川区)に今春、米陸軍の小型揚陸艇部隊を新編する方針が本年一月十二日、米ワシントンで開かれた日米安全保障協議委員会(2プラス2)で合意された。

 米陸軍は今年春ごろ、十三隻二百八十人の小型揚陸艇部隊を新たに編成する。既存の船舶を使うため隻数はこれまでの三十二隻から増えないが、随時派遣されていた人員が常時配置されるようになる。このノース・ドックへの新編について、以下質問する。

一 ノース・ドックは、終戦後の昭和二十一年に、アメリカ軍が接収して以来、アメリカ陸軍の物資の運送などに使用され、これまで横浜市は国に全面返還を求めてきたが、返還されたのは一部にとどまっている。地元の返還希望に対し、国の方針を明らかにされたい。

二 今回の常駐部隊の新設は、基地の恒久化につながり、ノース・ドックの早期返還が遠ざかるのではないか。今後の見通しについて政府の見解を示されたい。

三 今回の決定は、防衛省南関東防衛局から神奈川県や横浜市に対し、一月十二日に合意についての連絡があったとのことだが、事前の調整はなかった。

 在日米軍基地への部隊の新設について、地元自治体と事前に調整を行い、理解を得る努力をすべきと考えるが、政府の見解如何。また、今後も在日米軍基地に係る部隊の新編や再編についても、地元自治体に対しては事後報告で済ます方針か、政府の認識を示されたい。

四 部隊新編の具体的なスケジュールを示されたい。

五 防衛省から地元自治体に提示された資料には船舶を「配置」と記されていたが、これまで同省からは、口頭で「保管」と説明されていたという。「保管場所」から「部隊拠点」へ役割が変わることになり、横浜市は、これまでの国の説明と齟齬が生じかねないとの認識を示している。また、関係者からは、輸送拠点であったノース・ドックが出撃・訓練拠点化することが懸念されている。

 ノース・ドックの位置付けについて、従来の説明と変更があるのか、政府の見解如何。

六 今回の部隊新編により、紛争生起時にノース・ドックが攻撃対象となる可能性は上がるのではないか。政府の認識を示されたい。

七 ノース・ドックへの小型揚陸艇部隊の配置によって、民間船舶の運航への影響はあるのか、政府の見解如何。

八 部隊の新編に伴い、ノース・ドックの施設や設備に何らかの変更が生じるか。また、変更が生じる場合、日本側が費用負担を行う可能性はあるか。

  右質問する。