質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第三一号

日本放送協会の郵便法違反に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年三月二日

ガーシー


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   日本放送協会の郵便法違反に関する再質問主意書

 令和五年二月十四日に提出した「日本放送協会の郵便法違反に関する質問主意書」(第二百十一回国会質問第一二号)に対する答弁書(内閣参質二一一第一二号)では、日本放送協会(以下「NHK」という。)において、送達を委託した文書が信書に該当するとの事実を知りながら郵便法第四条違反の犯意により信書の送達を委託したと認められるとまでは判断していない状況に鑑み、告発していない旨の答弁がなされた。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 「犯意」とは罪を犯す意思(刑法第三十八条第一項)、刑法講学上、故意のことであり、通説的見解に従う限り、故意の要素として「事実の認識」と「違法性の意識」が考えられる。

 総務省は、NHKが平成二十七年十二月から令和四年一月までに他社に委託して送達を行った文書(総数約二千七十万通)に加え、さらにNHKが改めて調査した結果、新たに約三百九万通に同様の郵便法違反が確認されたとの報告を受け、二月二十四日、NHKに対し再び行政指導を行った。

 これだけ多くの文書を配送委託しているにもかかわらず、郵便法違反の認識がないこと自体あり得ないと考えられる。

 政府はいかなる情報に基づき、「事実の認識」があるとは言えないものと判断されたのか、具体的に示されたい。

二 「信書」に該当するのかどうかについては、いわゆる「あてはめの錯誤(法律の錯誤)」であり、すなわち、違法性の意識の要否という論点に行き着く。この点、判例は、例えば、最高裁昭和二十五年十一月二十八日判決(最高裁判所刑事判例集四巻十二号二千四百六十三頁)が判示するとおり、一般に、違法性の意識不要説を採用しているものと言われている。

 そのため、「信書」に該当する認識を要せずして、前記郵便法違反の犯罪は成立するため、「信書」該当性の認識の有無を理由に告発義務を免れることにはならない。

 政府は、違法性の意識不要説に立つと言われている判例には従わないということか、政府の見解を示されたい。

三 NHKによる調査の結果、新たに判明した郵便法違反(約三百九万通)については、先に判明した郵便法違反(約二千七十万通)と併合罪(刑法第四十五条)の関係にあり両立する。それゆえに、「公訴事実の同一性」(刑事訴訟法第三百十二条第一項)がなく、一事不再理効のような効力も発生し得ないものと考えられるため、郵便法違反(約二千七十万通)についての不起訴処分の効果が及ばないことに注意されたい。

 政府は、なお刑事訴訟法上の告発義務はないものと考えているのか、政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。