質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第三〇号

公法上の契約に類した契約に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年二月二十八日

ガーシー


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   公法上の契約に類した契約に関する質問主意書

 東京都は、平成三十年度から令和二年度にかけての三年間のモデル事業期間を経て、令和三年度及び令和四年度に東京都若年被害女性等支援事業を実施している。開示請求により情報公開された文書によると、このうち令和三年度に実施された同事業(以下「令和三年度事業」という。)については、随意契約を前提に企画審査会による業者選定を経て、委託事業者が決定されている。他方、令和四年度に実施されている同事業(以下「令和四年度事業」という。)に関しては、特段の企画審査の手続を経ずに、「本件契約は公法上の契約に類した契約として締結する」と整理され、令和三年度事業において選定された四団体と同一の団体と契約している。

 以上を踏まえ、地方自治法等における「公法上の契約に類した契約」の扱いに関して以下質問する。

一 東京都は令和四年度事業の委託契約に係る公文書において「本事業については、国の「若年被害女性等支援事業実施要綱」の第2において、「実施主体(都道府県)は事業の一部について年間を通じて若年女性の支援を行う社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO法人)等に委託することができる。」とされていることから、本件契約は公法上の契約に類した契約として締結する」とし、前記のとおり、企画審査の手続を経ずに令和三年度事業において選定された四団体と同一の団体と委託契約を締結している。

 このように、都道府県が、若年被害女性等支援事業の一部について若年女性の支援を行う社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO法人)等に委託する契約を、「公法上の契約に類した契約」として締結することは、政府の指示によるものか。それとも東京都独自の判断か。政府の見解を示されたい。

二 地方自治法第二百三十四条第一項では「売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。」としている。

 都道府県が、若年被害女性等支援事業の一部について若年女性の支援を行う社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO法人)等に委託する契約は、「公法上の契約に類した契約」として、同条に規定する契約から除外されるものか。それとも同条の「売買、貸借、請負その他の契約」に含まれうるものか。政府の見解を示されたい。

三 地方自治法第二百三十四条の二第一項では「普通地方公共団体が工事若しくは製造その他についての請負契約又は物件の買入れその他の契約を締結した場合においては、当該普通地方公共団体の職員は、政令の定めるところにより、契約の適正な履行を確保するため又はその受ける給付の完了の確認(中略)をするため必要な監督又は検査をしなければならない。」としている。他方、東京都は東京都若年被害女性等支援事業に関しては、モデル事業期間のことではあるが、平成三十年度及び令和元年度に関する検査調書を作成していないなど、必ずしも検査が行われていない状況である。

 これを踏まえ、都道府県が実施する若年被害女性等支援事業に関しては、「公法上の契約に類した契約」であることを理由に、地方自治法第二百三十四条の二の監督又は検査義務を免れるものか。政府の見解を示されたい。

 質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。