質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第二〇号

南大東島で保護された猫の移送に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年二月十六日

塩村 あやか


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   南大東島で保護された猫の移送に関する質問主意書

 沖縄県南大東村では「南大東村飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例」により、野生生物の保護のため、猫の飼い主への義務を定めるほか、村内での飼い猫以外の猫への餌やりの禁止や、飼い主の判明しない猫の保護収容ができることなどを規定している。

 また、同村においては、保護された猫の譲渡先を島内で見つけることが困難な場合、殺処分を回避するために沖縄本島への移送が行われているが、動物保護団体からは、移送に使用される船では、沖縄本島まで約十五時間を要する上、船上で猫が風や波にさらされて死亡してしまった事例もあると報告されている。

 希少な生態系の保全と動物愛護は両立すべき課題であり、野生生物の保護のために猫の命がないがしろにされる事態はあってはならない。南大東島で保護された猫に適正な飼養環境を確保するためには、移送について慎重な取扱いをすべきであることから、以下質問する。

一 南大東島における、飼い主の判明しない猫の保護収容及び譲渡の実態を政府はどのように把握しているか。

二 南大東島で保護された猫を島外の動物愛護管理センターや動物保護団体に移送する際に、どのような輸送手段が利用されているか、政府は把握しているか。飛行機と船舶それぞれの件数を明らかにされたい。また、飛行機と船舶のいずれを利用するのかについての判断の根拠や理由についても併せて示されたい。

三 保護された猫を船舶で長時間かけて移送することは、風や波にさらされることによって命の危険を一層高めることにつながり、国際的な動物福祉の基本原則である動物の「五つの自由」や、これを踏まえた動物愛護管理法第二条に定める基本原則に反するのではないか。船舶による移送が適切と考えているのか、政府の見解を明らかにされたい。

四 保護された猫の島外への移送は、飛行機による移送を原則とするよう検討すべきではないか。また、やむなく船舶を利用する場合には、保護猫が風や波にさらされて命が奪われることのないよう、安全を確保するための取決めを移送元と移送先の間で締結するよう促すべきではないか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。