質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第一九号

我が国における潜在的な食料供給力と国内で完結できる食料供給体制の整備に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年二月十四日

神谷 宗幣


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   我が国における潜在的な食料供給力と国内で完結できる食料供給体制の整備に関する質問主意書

 先般、私が提出した「我が国における潜在的な食料供給力と国内で完結できる食料供給体制の整備に関する質問主意書」(第二百十回国会質問第六〇号)に対する答弁書(内閣参質二一〇第六〇号)の内容を受け、改めて質問する。

 政府は、シーレーン断絶などによって、外国からの輸入品が一切入らなくなった事態を想定したシミュレーションは行っていない旨答弁した。しかし、昨年二月二十四日のロシアによるウクライナ軍事侵攻により世界の穀物輸出市場で大きな輸出量シェアを持つ二国との取引が政治的、物理的(積出しルートが戦闘の継続等で分断される等)な理由で妨げられるだけで世界中に食糧価格高騰や必要量の不足を生じていることに鑑みると、政府の取組は極めて不十分と言わなくてはならない。

 世界的な戦争や災害、食糧危機、パンデミック等が発生した場合、各国が食料の輸出を止め、自国の供給に専念する政策をとることはもとより、現実に日米間の安全保障上の協力の焦点に日本へのシーレーン寸断を引き起こす蓋然性の高い「台湾有事」が浮上していることからも、シーレーン断絶などによって外国からの輸入品が一切入らなくなった事態を想定したシミュレーションは実施、検討されて然るべきである。

 また、政府は、「米穀及び小麦について、それらの供給が不足する事態に備えた備蓄を行っており、令和四年度の備蓄量は、それぞれ、百万トン程度、八十八万トン程度である」と答弁した。この点、我が国の食料安全保障を検討する際、このような前提状況の把握は非常に重要であるが、前記答弁では、同備蓄がカロリーベースとしてどのくらいの備蓄なのか、そして、この備蓄時より何人がどのくらいの日数、必要なカロリーを摂取できるのかという点が明確ではない。

 そこで、以下、質問する。

一 「台湾有事」の発生が安全保障上の懸念事項になっているにもかかわらず、政府が外国からの輸入品が一切入らなくなった事態を想定して、シミュレーションを行っていない理由は何か。理由の如何を問わず、かかるシミュレーションは実施し、対策を検討するべきと考えるが、政府の見解如何。

二 政府は、「穀物や大豆の輸入量の大幅な減少等、様々な事態を想定したシミュレーションを行っている」と答弁したが、政府が行っている「様々な事態を想定したシミュレーション」について、具体的な内容及び分析の結果を示されたい。

三 政府は、「米穀及び小麦について、それらの供給が不足する事態に備えた備蓄を行っており、令和四年度の備蓄量は、それぞれ、百万トン程度、八十八万トン程度である。」と答弁しているが、これはカロリーベースとしてどのくらいの備蓄か。また、同備蓄により、何人がどのくらいの日数、必要なカロリーを摂取できるのかにつき、示されたい。

四 令和四年十月十七日に開催された第二百十回国会衆議院予算委員会において、野村哲郎農林水産大臣は、「海外からの食料の輸入に支障があった場合でも、備蓄の活用なり、あるいは国内の緊急的な増産によりまして、食料供給を確保できるように対応することが必要」である旨答弁している。このうち、「国内の緊急的な増産」に関する具体的方法及び緊急的増産によってカロリーベースで何人分の食料を何日間分確保できるのかという点について、政府の想定を示されたい。

  右質問する。