質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第一〇号

立川基地における訓練のために飛来するオスプレイに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年二月十三日

福島 みずほ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   立川基地における訓練のために飛来するオスプレイに関する質問主意書

 木更津基地に暫定配備されている陸上自衛隊V―22オスプレイ(以下「オスプレイ」という。)が、二〇二三年一月以降、立川基地へ飛来し訓練を開始することとなった。オスプレイは危険な航空機としてよく知られている。過去にも事故が多発して、アメリカと日本以外にこれを導入する国はない。

 立川基地への飛来と訓練の目的として、大規模災害時の人員・物資の輸送に備えることを防衛省は挙げている。しかしオスプレイによる輸送は、基本的に基地間の輸送にしか適さないもので、災害対応に向かないとも言われている。

 さらに、立川基地でのオスプレイの運用については、有視界飛行では東側の場周経路で進入としているが、その飛行経路は明らかにされていない。しかも立川飛行場運用規則によれば、立川基地を離着陸する際の場周経路の高度は上限が四百五十~六百メートルとされており、そもそも低い飛行高度しか想定されていない。

 以上のことから、平和で安全な市民生活を守るために、防衛省が十分な説明責任を果たすべきと考え、以下の質問をする。

一 立川飛行場の離着陸経路について

1 防衛省発行の航空路図誌(低高度版)に記載された、立川飛行場に係る飛行経路及び場周経路を図面により明らかにされたい。

 大田昌秀参議院議員(当時)が二〇〇二年十二月二日に提出した「陸上自衛隊立川基地の所属航空機の危険飛行に関する質問主意書」(以下「大田質問」という。)に対する同月二十四日付答弁書別表に記載された「立川飛行場に係る飛行経路」と概ね合致するとみてよいか。

 また、国土交通省発行の電子航空路誌(AISJAPANウェブサイトにて公開)に記載された、立川飛行場における標準出発経路等(SIDs)図とは概ね合致するか。相違するならば、立川飛行場における場周経路と標準出発経路等はそれぞれ、どのように利用されるか、明らかにされたい。

2 固定翼機と回転翼機の双方が配備される飛行場では、固定翼機と回転翼機で異なる場周経路及び場周高度が設定されることが多いが、立川飛行場においてはどうか。転換モードに切り替えながら場周経路上で離着陸もしくは飛行訓練を行うオスプレイは、回転翼機の場周経路及び場周高度を飛行すると考えてよいか。

二 場周経路における飛行高度について

1 前記の大田質問に対する答弁書によると、立川飛行場運用規則別紙第十一により、有視界飛行方式により同飛行場に係る飛行経路を航行する場合の飛行高度の上限は千五百フィート(約四百五十七メートル)以下とされている。他方、立川市長が二〇二二年十二月二十八日に行った要請(以下「立川市長要請」という。)に対して、二〇二三年一月二十日に防衛省北関東防衛局は「原則として滑走路の東側の場周経路を高度約千八百ft(約五百四十メートル)で飛行」する旨、回答しており、前記の答弁書と異なっている。場周経路を飛行する場合の飛行高度の上限は、千五百フィートと千八百フィートのどちらになるのか、根拠を示して明らかにされたい。

 また、海抜千五百フィート、海抜千八百フィートは、立川飛行場の東側場周経路においては概ね地上何十メートルに相当するか。

2 立川飛行場周辺自治体連絡会(以下「周辺自治体」という。)は、二〇二二年十一月七日に北関東防衛局長に対して行った追加要請(以下「連絡会追加要請」という。)において「可能な限り高い高度を維持すること」を求め、北関東防衛局は「高高度を設定した飛行や訓練に努める」旨、回答している。前記の運用規則により飛行高度の上限が設定されている立川飛行場の場周経路において、飛行高度の上限を超えた高高度の飛行は可能か。

 北関東防衛局が想定する「高高度を設定した飛行や訓練」とは、立川飛行場の場周経路においては概ね何フィートとなるか。

三 場周経路における飛行の安全性について

1 周辺自治体は、前記の立川市長要請において「市街地上空において、回転翼モードや転換モードでの飛行を必要最小限にすること」を求めたところ、北関東防衛局は場周経路上において転換モードと固定翼モードの切り替えを行う旨、回答した。晴天・無風時を想定した場合の、場周経路における転換モードへの切り替え開始地点・高度・標準速度、転換モードからの切り替え終了地点・高度・標準速度を明らかにされたい。

 その地点については、飛行場北側(RWY01)及び南側(RWY19)における離陸時もしくは着陸時それぞれについて、前記一の1において求めた立川飛行場の飛行経路及び場周経路の図面上に示されたい。

2 前記の立川市長要請に対して、北関東防衛局は「病院、市街地、住宅地などを極力回避」する旨、文書で回答している。立川飛行場は住宅密集地に所在するが、立川飛行場の場周経路直下及び周辺に位置する、医療法第一条に規定された病院、学校教育法第一条に規定する学校、同法第百二十四条に規定する専修学校、同法第百三十四条に規定する各種学校、児童福祉法第七条に規定する児童福祉施設、認定こども園法第二条に規定する認定こども園を把握しているか。把握している場合、各施設の件数を明らかにされたい。

四 事前通知について

1 周辺自治体は、前記の立川市長要請において「飛来の際は毎回、事前通知すること」を求めたが、北関東防衛局は「地上からのレーザー光線の照射といった、飛行の安全に支障を及ぼしかねない行為を防ぐため、従前から逐一地元に事前に提供しているわけではなく、(中略)公表することは予定して」いない旨、回答している。

 しかし、立川飛行場において一九八二年から二〇一五年まで月一回の割合で行われたC―1輸送機の経験飛行訓練に際しては、立川市に対して事前に日時等の情報提供が行われてきており、従前から逐一地元に事前に提供しているわけではない旨の回答は誤りではないか。

2 前記C―1輸送機の経験飛行訓練のみならず、これまでも立川飛行場における固定翼機の飛行、年始編隊飛行訓練、防災航空祭に伴う編隊飛行、自衛隊観閲式に係る航空機の離発着については、周辺自治体に対して飛行日時、機種、飛行目的が事前に情報提供されてきたが、今後は公表を取りやめるのか。

3 二〇一六年十二月二十一日施行の航空法施行規則改正により、空港周辺の空域を飛行する航空機に対する地上からのレーザー光線の照射は禁止されている。同施行規則改正以降、自衛隊機に対するレーザー光線の照射事案は何件発生し、そのうち、飛行日程が事前通知されていたために照射された事案は何件あったか。

五 訓練目的について

 立川飛行場へのオスプレイ飛来の目的は「陸上自衛隊輸送航空隊の技能習得並びに首都圏における大規模災害発生時の人員・物資の緊急輸送等に備えるため」とされている。この「陸上自衛隊輸送航空隊の技能習得」に、「島嶼部に対する攻撃への対応を念頭に、迅速かつ大規模な輸送・展開能力を確保し、実効的な対処能力の向上を図る」訓練は含まれるか。

 すなわち、第一ヘリコプター団隷下の輸送航空隊がオスプレイを運用してこれまで実施してきた、水陸機動団、空挺団、後方支援連隊、普通科連隊等と協同した訓練や演習、海上自衛隊の護衛艦への発着艦訓練、在日米軍との共同訓練や共同演習、大規模災害発生時以外を想定したヘリボン(機動展開等)訓練や降下訓練、スリング(懸吊)訓練を、立川飛行場に飛来あるいは経由して実施することはあるか。

  右質問する。