質問主意書

第211回国会(常会)

質問主意書

質問第二号

保護犬又は保護猫の譲渡前のトライアル飼育に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和五年一月二十五日

塩村 あやか


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   保護犬又は保護猫の譲渡前のトライアル飼育に関する質問主意書

 動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動物愛護管理法」という。)には、動物の所有者又は占有者が、動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して当該動物の適正な飼養等を行うことにより動物の健康及び安全を保持することや、所有する動物の終生飼養の努力義務が定められている。

 このうち、犬又は猫については、都道府県等により引き取られた犬又は猫の殺処分数の削減が大きな課題となっており、動物愛護管理法の平成二十四年改正において、都道府県知事等は、引き取った犬又は猫について、殺処分がなくなることを目指し、当該犬又は猫を希望する者に譲渡するとの努力義務が定められたところである。

 引き取られた犬又は猫が適切に終生飼養されるためには、飼い主としての適格性を有する譲受け希望者への譲渡が確実に行われることが求められる。

 保護犬や保護猫の譲渡を行っている都道府県等の動物愛護管理センターや民間の動物愛護団体においては、譲受け希望者への譲渡に先立ち、当該犬猫を希望者の自宅で一定期間生活させ、飼育環境や健康状態、家族との相性などを見極める「トライアル」飼育を実施する例が多い。一方で、トライアル期間中の犬猫の所有権の取扱いが明確になっておらず、トライアルの状況から譲渡が適切ではないと判断された場合であっても犬猫が返還されないなどのトラブルも見受けられる。

 トライアル飼育は、犬猫の譲受け希望者に飼い主としての責任を自覚させる機会となるとともに、正式譲渡後のトラブル防止にも寄与するものと考える。動物愛護管理法の目的にある人と動物の共生する社会の実現に資する仕組みとしてトライアルを位置付ける必要があることから、以下質問する。

一 トライアル期間中の犬又は猫の所有権は、保護主とトライアル飼育を実施している者のいずれにあるのか。政府の見解を示されたい。

二 犬又は猫のトライアル飼育の実態をどのように把握しているか。また、消費生活相談や警察等に寄せられているもののほか、環境省が独自に把握している、トライアル飼育先が犬猫を返還しない等のトライアル飼育をめぐるトラブルの件数を内容ごとに示されたい。

 返還をめぐりトラブルになったが、最終的に保護主に返還された件数についても併せて示されたい。

三 環境省は、平成十八年に「譲渡支援のためのガイドライン」、平成二十一年に「子犬と子猫の適正譲渡ガイド」等を作成し、譲渡に当たってのマッチングなどについて指針を示しているが、これらの中ではトライアル飼育についてはほとんど触れられていない。所有権の取扱いを含め、トライアル飼育についてのガイドラインを示す必要があるのではないか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。