質問主意書

第210回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一〇第七一号
  令和四年十二月二十日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員田村智子君提出公営住宅の入居に際し保証人確保が困難な人の入居確保に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員田村智子君提出公営住宅の入居に際し保証人確保が困難な人の入居確保に関する質問に対する答弁書

一について

 総務省中部管区行政評価局が令和四年十月五日に結果を公表した「保証人の確保が困難な人の公営住宅への入居に関する調査」(以下「令和四年調査」という。)におけるお尋ねの「保証人の確保ができないとの理由による入居辞退数」は、保証人規定(条例等における、公営住宅(公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第二条第二号に規定する公営住宅をいう。以下同じ。)への入居に際して、入居者に対して保証人の確保を求める旨の規定をいう。以下同じ。)を残している十一事業主体(同条第十六号に規定する事業主体をいう。以下同じ。)について実地調査を行ったところ、平成三十年度から令和三年度までの四年間において、八事業主体における合計百四十六件であった。

 また、お尋ねの「保証人を確保できないために入居申込みそのものを断念するに至ったケース」としては、令和四年調査において、公営住宅への入居を希望したが保証人が見つからず、公営住宅ではない保証人が不要のアパートに入居した例等を把握している。

二について

 各管区行政評価局等に寄せられた公営住宅の入居に際しての保証人の確保に関する相談の件数については、平成三十年度から令和三年度までの四年間において、北海道管区行政評価局で一件、東北管区行政評価局で十件、関東管区行政評価局で六件、中部管区行政評価局で七件、近畿管区行政評価局で一件、中国四国管区行政評価局で九件、四国行政評価支局で七件、九州管区行政評価局で十二件、沖縄行政評価事務所で二件、合計五十五件を把握している。

三について

 令和四年四月一日時点における①全国の事業主体の数及び②保証人規定を残している事業主体の数を、都道府県ごとにそれぞれお示しすると、次のとおりである。

 北海道 ①百八十 ②百二十六

 青森県 ①三十八 ②三十六

 岩手県 ①三十四 ②三十三

 宮城県 ①三十六 ②三十五

 秋田県 ①二十五 ②二十五

 山形県 ①三十五 ②三十五

 福島県 ①六十 ②五十三

 茨城県 ①三十九 ②三十六

 栃木県 ①二十六 ②二十六

 群馬県 ①三十三 ②二十一

 埼玉県 ①四十七 ②十四

 千葉県 ①四十八 ②十九

 東京都 ①六十 ②二十三

 神奈川県 ①三十一 ②十四

 新潟県 ①二十七 ②二十四

 富山県 ①十五 ②十五

 石川県 ①二十 ②二十

 福井県 ①十七 ②十七

 山梨県 ①二十六 ②二十六

 長野県 ①六十八 ②六十六

 岐阜県 ①三十五 ②三十三

 静岡県 ①三十五 ②三十三

 愛知県 ①四十 ②二十六

 三重県 ①二十六 ②二十五

 滋賀県 ①十八 ②十一

 京都府 ①二十四 ②六

 大阪府 ①三十八 ②十八

 兵庫県 ①四十二 ②二十三

 奈良県 ①三十七 ②三十七

 和歌山県 ①二十九 ②十七

 鳥取県 ①十九 ②十九

 島根県 ①二十 ②十二

 岡山県 ①二十八 ②十四

 広島県 ①二十四 ②十二

 山口県 ①二十 ②十六

 徳島県 ①二十四 ②二十一

 香川県 ①十八 ②十六

 愛媛県 ①二十一 ②二十

 高知県 ①三十五 ②三十一

 福岡県 ①五十七 ②二十四

 佐賀県 ①二十一 ②二十一

 長崎県 ①二十二 ②二十二

 熊本県 ①四十五 ②四十一

 大分県 ①十九 ②十九

 宮崎県 ①二十七 ②二十六

 鹿児島県 ①四十二 ②四十二

 沖縄県 ①三十七 ②二十八

四の1について

 事業主体による御指摘の「早期かつ細やかな納付指導、緊急連絡先届の提出」といった対応策は、「家賃収納率の低下」の防止や「入居者の急病等緊急時」に際しての的確な対応に資するものであり、「保証人規定の削除への懸念」への対応策として一定程度有効であると考えている。

四の2について

 お尋ねについては、事業主体が保証人規定を削除することで、事業主体が行う保証人の要件等に係る審査の事務等が不要となり、また、公営住宅への入居を希望する者が保証人の確保が困難であるという理由により入居を辞退しなければならない事態も生じないこととなるものと考えている。

四の3及び4について

 お尋ねの「政府としてどのような対策を行っているか」及び「全事業主体に情報提供を行うべきではないか」については、国土交通省において、令和四年四月に、全ての事業主体を対象として、公営住宅への入居に際しての保証人の取扱い等に関する調査を実施し、全ての事業主体における保証人規定の有無の状況や、保証人規定を削除した事業主体において講じている家賃の滞納等の際に連絡を取ることができる連絡先の把握等の対策等の調査結果について、同年十一月に全ての事業主体に対して周知したところである。

五の1について

 お尋ねの「「総務省調査」と同等以上の内容の調査」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国土交通省においては、全ての事業主体における保証人規定に係る見直しの検討の状況、保証人規定を削除した事業主体におけるその検討の経緯や削除したことの影響等に関する調査を行うことを検討している。

 また、保証人の確保が困難であるという理由により公営住宅への入居を希望する者が入居を辞退しなければならない事態が生じないよう、「公営住宅管理標準条例(案)について」(平成八年十月十四日付け建設省住総発第百五十三号建設省住宅局長通知)を改正し、同標準条例(案)における保証人規定を削除するとともに、各事業主体において適切な対応を行うよう周知等を行っているところである。

五の2について

 お尋ねの「各自治体の住宅部門と福祉部門の連携を進める施策」の意味するところが必ずしも明らかではないが、公営住宅における身寄りのない入居者や福祉的な支援が必要な家賃の滞納者等に対し、入居後の安否確認等の支援を行っていくことが必要と考えられることから、国土交通省においては、「公営住宅への入居に際しての取扱いについて」(平成三十年三月三十日付け国住備第五百三号国土交通省住宅局住宅総合整備課長通知。以下「平成三十年通知」という。)において、地方公共団体の住宅部局や福祉部局等で組織される住宅確保要配慮者居住支援協議会(住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成十九年法律第百十二号)第五十一条第一項に規定する住宅確保要配慮者居住支援協議会をいう。)の有するネットワークを必要に応じて活用して支援を行うことについて、事業主体に対して周知している。

五の3について

 お尋ねについては、平成三十年通知及び「公営住宅への入居に際しての保証人の取扱いについて」(令和二年二月二十日付け国住備第百三十号国土交通省住宅局住宅総合整備課長通知)において、保証人の確保を入居の前提とすることから転換すべき旨示しているところである。