質問主意書

第210回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一〇第六六号
  令和四年十二月二十日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出PFOS流出の原因究明及び環境補足協定に基づく立入調査の実効性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出PFOS流出の原因究明及び環境補足協定に基づく立入調査の実効性に関する質問に対する答弁書

一について

 ペルフルオロ(オクタン―一―スルホン酸)(以下「PFOS」という。)については、様々な用途で使用されてきたところであり、現時点において、在日米軍施設及び区域の周辺におけるPFOSの検出と米軍の活動との因果関係は明らかではないが、現在、PFOSに関する最新の科学的知見の収集等に努めているところであり、お尋ねについて予断をもってお答えすることは困難である。

二について

 お尋ねについては、PFOSの血中濃度と健康影響との関係を評価するための科学的知見は十分でなく、また、現時点で、沖縄県においてPFOSに関連した健康影響が生じているとの情報はないものと承知しており、まずは、PFOSに関する最新の科学的知見の収集等に努めてまいりたい。

 なお、環境省が昨年度実施した「化学物質の人へのばく露量モニタリング調査(パイロット調査)」は、日本人のPFOSの血中濃度の平均的な値を把握する調査設計とはしていないことから、当該調査と御指摘の「市民団体の調査」におけるPFOSの血中濃度の高低を比較することは適当でない。

三及び四について

 お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「立入り」については、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定を補足する日本国における合衆国軍隊に関連する環境の管理の分野における協力に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(平成二十七年外務省告示第三百五十一号)第四条において、日米両国は、「特定された日本国の当局が次に掲げる場合における施設及び区域への適切な立入りを行うことができるよう合同委員会が手続を定め、及び維持することに合意」しており、同条(a)において「環境に影響を及ぼす事故(すなわち、漏出)が現に発生した場合」を挙げている。さらに、平成二十七年九月二十八日に開催された、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二十五条1の規定に基づき設置された合同委員会(以下「日米合同委員会」という。)において、「環境に影響を及ぼす事故(すなわち、漏出)が現に発生した場合」における立入手続の詳細について、「日本国政府、都道府県又は市町村の関係当局は、地方防衛局又は防衛事務所を通じて、現地米軍司令官を介して在日米軍司令官又はその指名する者に対し、漏出への対処に当たる合衆国軍隊の措置について、日本国政府、都道府県又は市町村の関係当局が現地視察を行うことを認めるよう申請することができる。在日米軍司令官又はその指名する者は、地域社会との友好関係を維持し、及び環境の管理のための協力を強化することを希望して、申請に対して全ての妥当な考慮を払う。在日米軍司令官又はその指名する者は、回答を行うに当たり、申請を認めることが軍の運用を妨げるか、部隊防護を危うくするか、又は施設及び区域の運営を妨げるか否かについて考慮し、実行可能な限り速やかに回答する。申請が認められる場合には、当該視察は、漏出への対処に当たる合衆国軍隊の措置又はその他の運用を妨げない方法によってのみ行うことができる。」と合意されている。政府としては、こうした枠組みが地元の方々の関心に応えられるように運用されていくことが重要であると考えており、在日米軍施設及び区域の内外での環境対策が実効的なものとなるよう、引き続き取り組んでいく考えである。

五について

 日米両政府は、平成二十七年九月二十八日に開催された日米合同委員会において、「これらの視察の実施及びサンプルの採取のための方法及び手続並びにサンプル調査の際に用いられる基準及びその結果の共有については、環境分科委員会を含む合同委員会の枠組みを通じて両国政府の関係当局が取り扱う。」と合意している。政府としては、当該合意に従い、日米合同委員会の枠組みを通じて、公表時期を含め、視察の結果の共有について米国政府とやり取りを行っているが、日米間のやり取りの詳細について明らかにすることは、米国との関係もあり、差し控えたい。