質問主意書

第210回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一〇第六一号
  令和四年十二月十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出生殖補助医療の現状に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出生殖補助医療の現状に関する質問に対する答弁書

一について

 一般に、専門医の認定については、専門家による自律性を基盤として、各学会や一般社団法人日本専門医機構により行われているものである。御指摘の「生殖医療専門医」については、一般社団法人日本生殖医学会において、所定の研修を修了した産婦人科専門医又は泌尿器科専門医について研修及び認定を行っているものと承知しており、現時点において、政府として、「生殖医療専門医」を「増やす」「方策」については検討していない。

二について

 お尋ねの「ヒト精子の研究水準を高める」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国立研究開発法人日本医療研究開発機構が実施している成育疾患克服等総合研究事業において、「精子の「質」の評価方法」に関する研究を含め、「ヒト精子」に係る研究が行われてきているところである。

三及び五について

 お尋ねの「「治療の限界」の提示とリスクを含む適応基準の明確化、現場の実態調査」及び「保険診療下で出生児に何らかの問題が認められた場合には、医療機関に限らず、政府も責任を負う可能性が生じることになる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、顕微授精を含む不妊治療については、令和三年度に厚生労働科学研究費補助金による「生殖医療ガイドラインの適切な運用と今後の改良に向けた研究」において関係学会により作成された「生殖医療ガイドライン」で示された有効性、安全性等を踏まえて、中央社会保険医療協議会(以下「中医協」という。)において検討が行われた結果、保険適用の対象としたところであり、例えば、令和四年度診療報酬改定において、男性不妊治療に関し「Y染色体微小欠失検査」を保険適用の対象としているところである。この不妊治療の保険適用に際しては、不妊治療を実施する医療機関の診療報酬上の施設基準を定めるとともに、前年度における実施件数や安全管理に係る事項等について医療機関に対して報告を求めることとしている。また、今後についても、令和四年二月九日の中医協の答申の附帯意見において、「不妊治療について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、・・・学会等における対象家族・年齢、治療方法、保険適用回数、情報提供等に関する検討状況を迅速に把握しつつ、適切な評価・・・等について検討すること」とされていることも踏まえ、政府としては、不妊治療に係る科学的知見の収集等について適切に対応することとしている。

四について

 お尋ねの「リスク」の意味するところが必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難であるが、三及び五についてでお答えしたとおり、不妊治療については、「生殖医療ガイドライン」を踏まえて、中医協において検討が行われた結果、保険適用の対象としている。また、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和四年三月四日付け保医発○三○四第一号厚生労働省保険局医療課長及び歯科医療管理官連名通知)により、医療機関は、不妊治療の実施に際して、患者等の状況に応じて治療計画を作成することとしており、当該治療計画についても、少なくとも六月に一回以上、必要に応じて見直しを行うこととしている。

六について

 お尋ねの「安全性戦略に向けたガイドライン等」及び「臨床精子学の教育研修(知識・技術・経験)強化」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「生殖医療ガイドライン」の中で、科学的根拠並びに国内の検査及び治療の実態に基づいて、生殖医療の標準的な検査及び治療について示されたところである。