質問主意書

第210回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一〇第六〇号
  令和四年十二月十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出我が国における潜在的な食料供給力と国内で完結できる食料供給体制の整備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出我が国における潜在的な食料供給力と国内で完結できる食料供給体制の整備に関する質問に対する答弁書

一について

 農林水産省では、不測の事態が生じた場合に食料の供給の確保が図られるよう、穀物や大豆の輸入量の大幅な減少等、様々な事態を想定したシミュレーションを行っているが、御指摘の「シーレーン断絶などによって、外国からの輸入品が一切入らなくなった」事態を想定したシミュレーションは行っておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。なお、政府としては、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成六年法律第百十三号)に基づき、米穀及び小麦について、それらの供給が不足する事態に備えた備蓄を行っており、令和四年度の備蓄量は、それぞれ、百万トン程度、八十八万トン程度である。

二について

 お尋ねの「我が国における潜在的な食料の供給力」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「食料・農業・農村基本計画」(令和二年三月三十一日閣議決定。以下「基本計画」という。)に基づき、我が国の農地等の農業資源、農業者及び農業技術を活用することにより得られる食料の供給熱量を示す指標として、食料自給力指標を算出しており、令和三年度においては、国民が必要とする一人一日当たりの平均熱量二千百六十九キロカロリーに対し、米・小麦を中心に作付けした場合に供給可能な熱量は千七百五十五キロカロリーであり、いも類を中心に作付けした場合に供給可能な熱量は二千四百十八キロカロリーである。

三について

 御指摘の「国内で完結できる食料供給体制の整備」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「農業を担う人材の育成と確保」及び「飼料の国内完全調達」については、基本計画において、「効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担い、国内外の情勢変化や需要に応じた生産・供給が可能な農業構造を確立するため、このような農業経営を目指す経営体を含む担い手の育成・確保を進める」及び「特に単収増が見込める畑地における作付、草地整備・草地改良、放牧、公共牧場の利用、水田を活用した飼料生産、子実用とうもろこしの生産、エコフィード等の製造・利用の拡大など、国産飼料の生産・利用を推進する」とされているところであり、また、お尋ねの「野菜の種や種鶏など、食糧生産の前提的存在となる「種」」については、国内での生産の確保や輸入先国の多様化、備蓄の確保などの施策を組み合わせることにより、これらの安定的な調達の確保を図っているところであり、今後とも、必要な施策の充実に努めてまいりたい。