質問主意書

第210回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一〇第五九号
  令和四年十二月十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出北海道百年記念塔の解体に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出北海道百年記念塔の解体に関する質問に対する答弁書

一について

 我が国は、北海道の豊富な資源や広大な国土を利用し、国全体の安定と発展に寄与するため、明治二年の開拓使設置以降、特別な開発政策の下、北海道開発を進めてきており、北海道開発法(昭和二十五年法律第百二十六号)の制定後も、同法第二条第一項に規定する北海道総合開発計画(以下「開発計画」という。)を策定して計画的に北海道開発を推進している。また、北海道百年記念塔は、北海道百年記念塔建設期成会が建設し、北海道へ寄附されたと承知しており、お尋ねの「存在意義」について、政府としてお答えすることは差し控えたい。

二について

 お尋ねの「この精神は今日も変わらず受け継がれるべきもの」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一についてで述べたとおり、政府としては、開発計画に基づく北海道開発の推進は我が国全体の安定と発展に大きく寄与していると認識しており、今後とも、開発計画に基づき北海道開発を推進すべきものであると考えている。

三について

 御指摘の「北海道開拓の顕彰」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねの「アイヌ民族への差別」であるか否かについてお答えすることは困難である。

四について

 お尋ねに関しては、平成二十年六月六日に衆議院及び参議院の本会議において採択された「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」において述べられているように「我が国が近代化する過程において、多数のアイヌの人々が、法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実」を、政府として、厳粛に受け止めている。

五について

 お尋ねの「建築文化遺産」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第五十七条第一項の規定による有形文化財の登録の基準については、国の場合、登録有形文化財登録基準(平成十七年文部科学省告示第四十四号)において、「建築物、土木構造物及びその他の工作物」のうち、「原則として建設後五十年を経過し」、かつ、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、「造形の規範となっているもの」又は「再現することが容易でないもの」のいずれかに該当するものとされているところ、個々の有形文化財について、当該登録基準を満たすか否かは、文部科学省設置法(平成十一年法律第九十六号)第二十条第一項の規定に基づき設置された文化審議会における専門的な議論を踏まえて判断されるものである。

六について

 御指摘の記事中の発言内容について承知しておらず、御指摘の「地方自治を保障した憲法九十二条を踏まえ自治の趣旨を踏まえてほしい」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

七について

 お尋ねの「全国的価値を有する文化財の喪失を政府が是正させる仕組み、法的な取り決め」の意味するところが必ずしも明らかではないが、文化財保護法の規定による指定又は登録を受けていない有形文化財について、国がその保護に関する指導、助言、勧告等を行うことができる旨の規定は同法には存在しない。