質問主意書

第210回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一〇第五七号
  令和四年十二月十六日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出NPOやNGO等の非営利組織や政治団体に寄附規制が適用されることへの懸念に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出NPOやNGO等の非営利組織や政治団体に寄附規制が適用されることへの懸念に関する質問に対する答弁書

一について

 法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律(令和四年法律第百五号。以下「本法」という。)に対し、御指摘の「NGOやNPO団体からは、実態把握や聞き取り調査が行われていないことは遺憾で、寄附についての一律規制には慎重な議論が必要であるとの意見」も含めて懸念が示されたことは承知しており、それを踏まえて、本法第十二条においては、特定非営利活動法人を含む法人等の活動において寄附が果たす役割の重要性に留意しつつ、個人及び法人等の学問の自由、信教の自由及び政治活動の自由に十分に配慮しなければならないこととされている。

 また、お尋ねの「法運用の面で団体の活動や寄附を集めること、寄附を行うことに不必要なブレーキをかけることのないような配慮及び問題が生じた際の法改正を含む適切な対応」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、本法附則第五条においては、政府は、本法の施行後二年を目途として、本法の規定の施行の状況及び経済社会情勢の変化を勘案し、本法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることとされている。

二について

 お尋ねの「政府が従来とってきた「新しい公共」推進方針は影響を受けるか、あるいは転換されるのか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として申し上げれば、政府としては、共助社会づくりの観点から、社会的課題を解決するために、特定非営利活動法人等の活動の促進に向けた環境整備を進めるとともに、官民連携による協働の促進に取り組んでいるところである。なお、一についてで述べたとおり、本法においても、その運用に当たっては、特定非営利活動法人を含む法人等の活動において寄附が果たす役割の重要性に留意すべきものとされている。

三について

 御指摘の松野内閣官房長官の発言は、本法について実効性のある制度とする努力を続ける必要性を述べたものである。お尋ねの「本法律案の条文が解釈上明確でない点が残されている」及び本法の「運用に当たり解釈に疑義が生じないような法律上の条文構成とすべきではないのか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、今後とも、本法が適切に運用されるよう、必要に応じ、本法の規定について所要の解釈を示していきたいと考えている。