質問主意書

第210回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一〇第四九号
  令和四年十二月九日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員辻元清美君提出今後の経済見通しや政府が「百六万円の壁」と説明してきたことの正当性及び年金額の変動等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員辻元清美君提出今後の経済見通しや政府が「百六万円の壁」と説明してきたことの正当性及び年金額の変動等に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「二〇〇六年度から二〇二一年度の各年度の全要素生産性(TFP)上昇率」の数値は、「二〇二二年四~六月期四半期別GDP速報(二次速報値)」(令和四年九月八日内閣府公表)等により、以下のとおりであると推計しているところである。

 平成十八年度 〇・六パーセント程度

 平成十九年度 〇・四パーセント程度

 平成二十年度 〇・三パーセント程度

 平成二十一年度 〇・五パーセント程度

 平成二十二年度 〇・八パーセント程度

 平成二十三年度 一・〇パーセント程度

 平成二十四年度 一・一パーセント程度

 平成二十五年度 一・一パーセント程度

 平成二十六年度 一・〇パーセント程度

 平成二十七年度 〇・八パーセント程度

 平成二十八年度 〇・六パーセント程度

 平成二十九年度 〇・四パーセント程度

 平成三十年度 〇・三パーセント程度

 令和元年度 〇・三パーセント程度

 令和二年度 〇・四パーセント程度

 令和三年度 〇・五パーセント程度

 ただし、全要素生産性上昇率の推計値については、用いるデータの改定等により変わり得るものであることから、相当の幅をもって見る必要がある。

二の1について

 お尋ねの「ロシア・中央アジア地域等貿易投資促進事業」については、令和四年度において、一般社団法人ロシアNIS貿易会に対し、二億五千八百六十二万六千円の交付決定を行っているところであり、令和四年十月末日時点で、二億二千五百十四万円の支出を行っている。

二の2について

 お尋ねの「ロシア関連の事業」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和四年度一般会計補正予算(第二号)において、ロシアとのいわゆる八項目の「協力プラン」に係る予算は含まれていない。

三について

 お尋ねの「所定内賃金」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生年金保険又は健康保険の適用事業所に使用される者が、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第十二条第五号ロ又は健康保険法(大正十一年法律第七十号)第三条第一項第九号ロに掲げる要件(以下「賃金による適用除外要件」という。)に該当するか否かついては、一の適用事業所において支払われる報酬のうち、厚生年金保険法施行規則(昭和二十九年厚生省令第三十七号)第九条の四各号又は健康保険法施行規則(大正十五年内務省令第三十六号)第二十三条の四各号に掲げる賃金に相当するものを除く部分の額について、厚生年金保険法施行規則第九条の五又は健康保険法施行規則第二十三条の五で定めるところにより、厚生年金保険法第二十二条第一項の規定の例により又は健康保険法第四十二条第一項の規定の例により算定した額(以下「所定内賃金月額」という。)が、八万八千円未満であるか否かにより判断されるところ、お尋ねの「1から3までのケース」について、賃金による適用除外要件に該当するか否かについては、それぞれ以下のとおりである。

 お尋ねの「1 雇用契約時の所定内賃金が八・八万円未満であって、翌月以降の所定内賃金が八・八万円を超えた場合」については、所定内賃金月額が八万八千円以上となるに至った日をもって、賃金による適用除外要件に該当しないこととなる。

 お尋ねの「2 雇用契約時の所定内賃金が八・八万円未満であって、かつ時間外手当や賞与などを含めた年収が百六万円を超えた場合」については、所定内賃金月額が八万八千円未満である場合には、賃金による適用除外要件に該当する。

 お尋ねの「3 複数事業所で働いている労働者について、それぞれの事業所との雇用契約時の所定内賃金が八・八万円未満であったものの、両事業所から受け取った所定内賃金の年間合計が百六万円を超えた場合」については、複数の適用事業所において支払われる所定内賃金月額の合計額が八万八千円以上である場合であっても、一の適用事業所において支払われる所定内賃金月額が八万八千円未満である場合には、賃金による適用除外要件に該当する。

四について

 お尋ねの「二年度前から四年度前までの三年度平均の実質賃金変動率」について、その算出に用いている厚生年金被保険者の「雇用形態別・労働時間別・性別の人数」については把握しておらず、お答えすることは困難である。なお、令和四年度の年金額の改定率の算出に用いた平成二十九年度末時点の厚生年金被保険者の人数については、男性が約二千七百十五万八千人、女性が約千六百四十二万四千人であり、令和二年度末時点の厚生年金被保険者の人数については、男性が約二千七百五十四万七千人、女性が約千七百五十八万七千人である。

五について

 お尋ねの「令和五年度の年金額(新規裁定年金・既裁定年金)に対してプラスに働くか、またはマイナスに働くかなど、具体的な影響」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和五年度の年金額については、令和四年における厚生年金保険法第四十三条の二第一項第一号に掲げる率(以下「物価変動率」という。)等を基準として改定することとされているところ、同年における物価変動率については現時点で確定していないことから、仮定の質問にお答えすることは困難である。