質問主意書

第210回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一〇第三八号
  令和四年十一月二十二日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出在外国民審査に関する最高裁違憲判決の趣旨に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出在外国民審査に関する最高裁違憲判決の趣旨に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第四十九条の二第一項第一号に規定する在外公館等における在外投票(以下「在外公館投票」という。)を実施する在外公館がなく、かつ、日本からの国際スピード郵便を含む全ての航空便の引受停止の措置を講じている国が令和四年十一月二日時点において二十三箇国あること及び当該国の一部に在外選挙人名簿に登録されている選挙人が存在することは承知している。

 政府としては、在外公館投票について、現地の安全や治安状況の観点から多数の在外邦人が在外公館等に集まることが適当でない場合、投票記載場所を設置するための適切な場所がない場合及び在外公館が新設公館であることや国外退避等により一時閉鎖中であることにより施設や人員体制の面から投票の実施が困難である場合を除き、原則として実施することとしている。その上で、当該選挙人は、当該選挙人の居住国や居住地域に限らず、在外公館投票を実施しているどの在外公館でも投票することができる。

 また、当該選挙人の投票機会を確保するため、郵便等による在外投票に関して、第二十六回参議院議員通常選挙の管理執行について、「在外郵便等投票のための投票用紙の発送について」(令和四年六月二日付け総務省自治行政局選挙部管理課事務連絡)において、「EMSや航空便の利用による投票用紙の発送ができない場合等には、あらかじめ在外選挙人へ説明の上、国際宅配便を利用することも差し支えない」と各選挙管理委員会に対して周知しているところである。

 今後とも、在外公館投票や郵便等による在外投票を行う機会をできるだけ確保するよう、引き続き、多くの在外公館において投票を行うことができるよう努めてまいりたい。

二について

 「導入可能な解決策の提示を受けながら、「在外投票が不可能な有権者」を放置している」との御指摘について、総務省に設置された「投票環境の向上方策等に関する研究会」の平成三十年八月の報告書において、在外選挙におけるインターネット投票が提言されていることについては、当該報告書において、一定の対応方策を講ずることにより、実現に向けた技術面・運用面の大きな課題は解決できること等が示され、同省において検討を進めているところであるが、在外選挙におけるインターネット投票の導入に向けては、個人番号カードの国外での継続利用を前提とした本人確認、二重投票の防止、投票の秘密の確保、セキュリティ対策等の論点について確実に対応する必要があり、また、各党各会派における議論も踏まえる必要があると考えており、政府としては、引き続き、着実に検討を進めてまいりたい。