質問主意書

第210回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一〇第二三号
  令和四年十一月四日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員神谷宗幣君提出外国人の生活保護受給に係る最高裁判決を踏まえ旧厚生省通達を見直す必要性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出外国人の生活保護受給に係る最高裁判決を踏まえ旧厚生省通達を見直す必要性に関する質問に対する答弁書

一について

 世帯主が日本の国籍を有しない者であって生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)に基づく保護に準じた保護を受けている世帯について、国籍別の世帯類型別の推移及び世帯人員別の推移は、「政府統計の総合窓口」のホームページにおいて被保護者調査として公表しているところである。また、国籍別の保護の開始の申請件数及び開始件数については把握していない。

二について

 「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」(昭和二十九年五月八日付け社発第三百八十二号厚生省社会局長通知。以下「昭和二十九年通知」という。)において、生活に困窮する外国人に対する保護の開始に向けた手続に関し、「保護の実施機関より報告をうけた都道府県知事は当該要保護者が、その属する国の代表部若しくは領事館(支部又は支所のある場合にはその支部又は支所)又はそれらの斡旋による団体等から必要な保護又は援護を受けることができないことを確認し、その結果を保護の実施機関に通知すること」としている。

三について

 生活に困窮する外国人に対しては、人道上の観点から、生活保護法による保護に準じた保護が行われているところであり、最高裁判所の判例においても「外国人は、行政庁の通達等に基づく行政措置により事実上の保護の対象となり得る」とされている(最高裁判所平成二十六年七月十八日第二小法廷判決)。昭和二十九年通知にいう「当分の間」とは、具体的に特定の期間を想定しているものではなく、現在においても生活に困窮する外国人が一定程度存在していることから、昭和二十九年通知を見直す状況にないと考えている。

四について

 昭和二十九年通知は、地方公共団体に法的な義務を課するものではないが、厚生労働省としては、一定の外国人に対し、人道上の観点から、生活保護法に基づく保護に準じた保護を行うという昭和二十九年通知の内容に沿った取扱いをしていただきたいと考えている。また、お尋ねの「実施機関である市町村が外国人への生活保護を最高裁判決の立場等から実施を見送った場合、当該市町村が国からの交付金などで不利益な取扱いを受ける」の具体的に意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。