質問主意書

第210回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一〇第一三号
  令和四年十月十四日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員小西洋之君提出安倍元総理の国葬儀を実施した理由等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出安倍元総理の国葬儀を実施した理由等に関する質問に対する答弁書

一について

 故安倍晋三国葬儀に要した経費については、現在集計中であるため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

二について

 御指摘の「旧統一教会と安倍元総理との関係」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、自由民主党総裁の行為に関することであることから、政府としてお答えする立場にない。

三について

 前段のお尋ねについて、御指摘の「旧統一教会」については、悪質商法に関する問題、親族の入信に起因する家族の困窮の問題等、様々な問題が指摘されているものと承知しており、このような状況を踏まえて、社会的に問題が指摘されている団体であると認識している。

 後段のお尋ねについては、令和四年十月五日の衆議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「山際大臣については、過去、旧統一教会関係の接点があったこと、また、接点を点検した後も新たな過去の接点が報じられていることについて、できる限りの調査を行い、その結果を説明するとともに、これまでの反省に立って、今後は一切関係を持たないと述べていると承知をしています。理解を得られていないというのであれば、引き続き、政治家として、自らの責任において丁寧に説明を尽くす必要があると考えております。」と答弁しているところである。

四、五及び九から十一までについて

 元内閣総理大臣の葬儀の在り方については、これまでも、国葬儀を含む国の儀式を行うことが行政権の作用に含まれるとの考えの下、その時々の内閣において、様々な事情を総合的に勘案し、その都度ふさわしい形を判断してきたところであり、御指摘のような個別具体的な政策における特定の「実績」といった特定の観点のみをもって判断しているものではなく、また、こうした観点から、個別の元内閣総理大臣と比較して、「国葬儀を行う必要があると考えるほどに卓越した功績である」と評価して判断すべき性質のものではないと考えている。その上で、安倍元内閣総理大臣の葬儀を国葬儀の形式で行うこととしたことについては、様々な御意見があることは承知しているが、その考え方については、令和四年九月八日の衆議院議院運営委員会において、岸田内閣総理大臣が「安倍元総理については、民主主義の根幹たる国政選挙において六回にわたり国民の信任を得ながら、憲政史上最長の八年八か月にわたり内閣総理大臣の重責を担ったこと、東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした戦略的外交の展開を主導し、平和秩序に貢献するなど、大きな実績を様々な分野で残したこと、諸外国における議会の追悼決議、服喪の実施、公共施設のライトアップを始め、各国で様々な形で、国全体を巻き込んでの敬意と弔意が表明されていること、民主主義の根幹たる選挙運動中での非業の死であること等を踏まえ、安倍元総理の国葬儀を執り行うことが適切であると判断し」たと答弁したとおりである。

六について

 安倍元内閣総理大臣の葬儀を国葬儀の形式で行うこととした考え方については、四、五及び九から十一までについてで述べたとおりであり、その上で、御指摘の岸田内閣総理大臣の発言は、「国葬儀を執り行うことで、安倍元総理を追悼する」ということを述べるとともに、国葬儀を通じて、「我が国は、暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意を示して」いくことを述べたものである。

七について

 前段のお尋ねについては、令和四年十月六日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「従来の内閣・自民党合同葬では礼節として不十分であったというのではなく、今回の国葬儀は、安倍元総理は憲政史上最長の八年八か月にわたり内閣総理大臣の重責を担われたこと、選挙運動中の非業の死であったこと、日本経済の再生等の大きな実績を様々な分野で残されたこと、国内、海外からの幅広い弔意が寄せられたことなど様々な状況を踏まえて、我が国としても故人に対する敬意と弔意を表す儀式を催し、これを国の公式行事として開催し、その場に海外からの参列者の出席を得る形で葬儀を執り行うことが適切であると判断し、執り行ったものであります。」と答弁したとおりである。

 また、後段のお尋ねについては、同年九月八日の衆議院議院運営委員会において、同内閣総理大臣が「諸外国における議会の追悼決議、服喪の実施、公共施設のライトアップを始め、各国で様々な形で、国全体を巻き込んでの敬意と弔意が表明されている」と答弁したとおりであり、また、このことは、御指摘の「過去の総理及び元総理の逝去の際の各国の対応」と比較して述べたものではない。

八について

 前段のお尋ねについては、御指摘の岸田内閣総理大臣の答弁は、安倍元内閣総理大臣の逝去の際に海外から寄せられた「日本国民全体に対する哀悼の意を表する趣旨」のメッセージの多寡について、「過去の総理・元総理の逝去の際」と比較して述べたものではない。

 また、後段のお尋ねについては、同元内閣総理大臣の逝去の際に海外から寄せられたメッセージの多くが「日本国民全体に対する哀悼の意を表する趣旨」であると判断し得るものの、追悼のメッセージの表現は様々であるため、お尋ねの「割合」について正確にお示しすることは困難である。