質問主意書

第210回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一〇第六号
  令和四年十月十四日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員浜田聡君提出いわゆる「AV新法」におけるAVの法律的な位置付け等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出いわゆる「AV新法」におけるAVの法律的な位置付け等に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「AVを制作、販売する事業」、「合法な事業となりうる事業」及び「適切なプロセス・合意形成」の意味するところが必ずしも明らかではないが、性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律(令和四年法律第七十八号。以下「法」という。)第三条第三項においては法のいかなる規定も「法令の規定により無効とされる契約を有効とするものと解釈してはならない」とされており、同条第四項においては「法令において禁止され又は制限されている性行為その他の行為を行うことができることとなるものではない」とされている。

二について

 お尋ねの「AVを制作、販売する事業」の意味するところが必ずしも明らかではないが、性行為映像制作物(法第二条第二項に規定する性行為映像制作物をいう。以下同じ。)の「制作」が主として映画(アニメーションを除く。)の制作を行う事業又は制作及び配給の両者を行う事業並びに記録物、創作物などのビデオ制作(アニメーションの制作を除く。)を行う事業に含まれる事業であるとすれば、統計法(平成十九年法律第五十三号)第二条第九項に規定する統計基準として定められた日本標準産業分類(平成二十五年総務省告示第四百五号)における大分類「情報通信業」の中の中分類「映像・音声・文字情報制作業」の中の小分類「映像情報制作・配給業」の中の細分類「映画・ビデオ制作業(テレビジョン番組制作業,アニメーション制作業を除く)」に、性行為映像制作物の「販売」が有体的商品を購入して販売する事業に含まれる事業であるとすれば、日本標準産業分類における大分類「卸売業,小売業」の中の中分類「その他の卸売業」の中の小分類「他に分類されない卸売業」の中の細分類「他に分類されないその他の卸売業」又は大分類「卸売業,小売業」の中の中分類「その他の小売業」の中の小分類「他に分類されない小売業」の中の細分類「他に分類されないその他の小売業」にそれぞれ分類されると考えられる。

三について

 お尋ねの「合理的な根拠によって算定された」期間の意味するところが必ずしも明らかではないが、性行為映像制作物の撮影が出演者の心身及び私生活に重大な影響を与え得るものであることに鑑み、出演者が撮影の対象となることについて検討するとともに、法第十七条の規定により整備した体制における相談に応じる機関(以下「相談機関」という。)を含め、他者に相談するために必要な期間として定められたものと認識している。

四について

 お尋ねの「合理的な根拠によって算定された」期間の意味するところが必ずしも明らかではないが、性行為映像制作物の公表が出演者の心身及び私生活に重大な影響を与え得るものであることに鑑み、出演者が当該性行為映像制作物を公表されることについて検討するとともに、相談機関を含め、他者に相談するために必要な期間として定められたものと認識している。

五について

 お尋ねの「同法の条文案作成作業に政府職員が職務として関与」の具体的に意味する範囲が明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

六について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、法第二条第四項に規定する出演者であることをもって、同条第七項に規定する制作公表者に該当しなくなるものではないと認識している。

七について

 お尋ねについては、個別具体的な事情により判断すべき事柄であり、御指摘の与件のみをもって一概にお答えすることは困難である。