質問主意書

第210回国会(臨時会)

質問主意書

質問第七八号

事実に反する認知が行われた子の日本国籍喪失に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年十二月九日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   事実に反する認知が行われた子の日本国籍喪失に関する質問主意書

 民法等の一部を改正する法律案(第二百十回国会閣法第一二号)には、国籍法の改正関係が含まれている。これに関連し、下記のとおり質問する。

一 今回の法案には、国籍法第三条第三項を追加する改正が含まれている。このような改正が、民法等の改正と合わせて行われる理由について示されたい。

二 法務省の統計「改正国籍法に伴う国籍取得届の状況」によれば、毎年ある程度の不受理者が発生しているが、どのような場合に「不受理」となるのか。具体的に事例を示されたい。

三 平成二十年の国籍法の改正では、虚偽の国籍取得の届出書を提出した者に対する制裁として、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する刑罰が設けられた。この国籍法第二十条の罰則について、これまでの適用状況はどのようになっているか。

四 国籍法第三条による国籍取得届により日本国籍を取得した後、日本人父の認知が虚偽の認知であることが明らかになった場合、子は当時に遡って、日本国籍を失うこととなり、不法滞在者として強制退去の対象となるとの答弁があった。しかも国籍の喪失に年限はなく、何十年も日本人として暮らしていた者でも、また本人に何の責任もなく、本人自体も日本人だと信じていたとしても、当初から不法滞在ということになる。偽装認知の抑止が立法趣旨ということだが、それを根拠づける立法事実、すなわちそもそも、偽装認知が増加、悪質化しているという立法事実の提示もない中で、しかも本人に帰責性がない場合も含めて人生の基盤を土台からひっくり返す処分を行うというのは、果たして適切な措置と言えるのか。政府の認識を示されたい。

五 前記四のケースで国籍を喪失する場合、父及び子の戸籍への反映はどのようになるのか。

  右質問する。