質問主意書

第210回国会(臨時会)

質問主意書

質問第七五号

無戸籍者問題の解決に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年十二月九日

牧山 ひろえ


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   無戸籍者問題の解決に関する質問主意書

 民法等の一部を改正する法律案(第二百十回国会閣法第一二号)には、嫡出推定の見直し等の内容が含まれている。改正の趣旨は、出生届の届出がなかった子どもが、戸籍に記載されていないことによって不利益を受けているという、いわゆる「無戸籍者問題」の解消とされている。

一 無戸籍者問題解決のためには、現在、無戸籍となってしまっている方々を把握していくことが重要となるが、無戸籍者の把握はどのように行われているのか示されたい。

二 無戸籍者が戸籍を取得するためには支援が必要と考えるが、どのような支援が行われ、それによりどのような成果が上がっているか、示されたい。

三 現行法では、婚姻成立後二百日以内に生まれた子は、嫡出推定が及ばないものの、戸籍実務上、嫡出子として届け出ることができることから、いわゆる「推定されない嫡出子」と称されている。

 今回の改正により、この「推定されない嫡出子」が嫡出推定されることになるが、その意義について示されたい。

四 親子法制部会の委員として審議に加わった白大学水野紀子教授は、「嫡出否認を提訴できるような母であれば、事前に実父に対する強制認知の手段を使って自衛することもできるだろうが、そういう力のない母が無戸籍児をもたらすことが問題である。」旨述べている。本当に深刻な事例では、無戸籍児の発生を抑止する実効性は薄いのではという懸念である。

 この実効性に関する懸念について、政府の見解を示されたい。

五 この懸念に対して、有識者からは、無戸籍児を発生させないという観点からは、後から嫡出否認の訴えで争う道を拡大して認めることでは足りず、推定の及ばない子についても、推定されない嫡出子と同様に、出生届の段階で届出の自由を認め、母による非嫡出子出生届を受け付けることを認める方が簡便であり確実だと提案されている。制度見直し時にはこのような提案をより前向きに検討すべきではないか。政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。