質問主意書

第210回国会(臨時会)

質問主意書

質問第七〇号

「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による電気料金等の値下げ支援対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年十二月九日

柴田 巧


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による電気料金等の値下げ支援対策に関する質問主意書

 本年十二月二日に成立した令和四年度第二次補正予算の大きな柱として、「電気・ガス価格激変緩和対策事業」が盛り込まれた。これによって電気の場合、家庭向けで一kWh当たり七円、企業向けとされる高圧は一kWh当たり三・五円の値下げを図るという。

 そして値下げ支援の方法としては、電力の需要家である家庭や企業に直接補助するわけではなく、国が補助をするのは電力を販売する小売電気事業者等であり、小売側がそれを原資として料金値下げを実施する形を取っている。

 そのためこの支援策においては、まず小売側の事業者に制度への参加を申請してもらうという手続がある。参加は義務ではないが、政府としてはできるだけ多くの事業者に参加をしてもらい、より多くの需要家に電力値下げの恩恵が行き渡ることを期待している旨を表明している。

 以上を踏まえて以下質問をする。

一 小売側の事業者のうち何社がこの支援策に参加をし、何社が参加しなかったかという数字は発表されるのか。

 また値下げの恩恵を受ける需要家世帯や需要家企業の数も明らかにされるのか。そしてそれが全国の総世帯、総企業数の何割を占めたかという数値も発表されるのか。

二 政府は「小売電気事業者等」に補助を出すと説明してきたが、「等」には高圧一括受電事業者も含まれるという理解でよいか。また、「等」には他にどのような事業者が含まれるのか。

三 高圧一括受電事業者はマンション住民にとっては事実上、小売電気事業者と同等の役割を果たしているが、法律上の位置付けとしては電気事業法上の電気事業者には該当しない。そのため登録や届出の対象になっていないと理解している。政府は高圧一括受電事業者の数については把握しているのか。

 また、高圧一括受電事業者が電力を販売する相手はマンション住民と考えられるが、高圧一括受電事業者が電力を販売しているマンション棟数、世帯数はどのくらいになるのか。

四 「電気・ガス価格激変緩和対策事業」という新しい値下げ支援策を導入するに当たって政府は小売電気事業者等に対し事業者説明会を実施していると承知する。

 小売電気事業者であれば登録制度があるため政府としても当然、その存在を網羅的に把握しているはずだが、高圧一括受電事業者には登録や届出制度があるわけではない。

 そのため政府としても事業者の存在を網羅的に把握するのが困難かと思われるが、事業者説明会の参加の呼び掛けはどのような形で実施したのか。

五 「電気・ガス価格激変緩和対策事業」は、電気を小売をする側が申請をするという仕組みを取っている以上、申請はしたが要件を満たさないために不採択になるということもあり得ると思われるが、採択率や採択されなかった個別社名のような情報は公表されるのか。

六 「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による電気料金の値下げ支援対策においては、不正が発覚した場合には電気事業法に基づく業務改善命令や業務改善勧告、さらには小売電気事業の取消しを行う場合があるとされている。しかし、高圧一括受電事業者は電気事業者に該当しないため電気事業法に基づく制裁の対象にはならないと思われるが、政府の見解を示されたい。

 このような電気事業者に該当しない事業者に不正が発覚した場合には、どのような対応が想定されるのかも合わせて明らかにされたい。

七 電力の使用は地球温暖化問題にも密接に関係する。そのため電気については電源構成や排出係数などが注目される。税金を投入する以上、法律上の電気事業者であるか否かを問わずに、電源構成や排出係数などの環境情報の開示をより一層充実させていくという考えはあるか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。