質問主意書

第210回国会(臨時会)

質問主意書

質問第六九号

福島第一原子力発電所一号機ペデスタル内調査に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年十二月九日

山本 太郎


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   福島第一原子力発電所一号機ペデスタル内調査に関する質問主意書

 二〇二二年五月二十六日読売新聞によれば、東京電力は本年五月十七~二十三日、福島第一原発一号機の原子炉格納容器(PCV)内に水中ロボット(ROV)を入れ、原子炉圧力容器(RPV)を支える円筒形の土台「ペデスタル」の外側を撮影した。

 その映像を分析したところ、ペデスタルの点検用の開口部付近で厚さ一・二メートルのコンクリートの一部がなくなり、鉄筋がむき出しになっていた。原子炉本体(原子炉圧力容器)を支えるコンクリート製の土台の損傷について、溶け落ちた核燃料などが冷えて固まった核燃料デブリとみられる堆積物が水中で棚状になり、棚の下側だけ土台の鉄筋が露出していることが分かった。

 原子力規制委員会の更田豊志委員長(当時)は五月二十五日の記者会見で、ペデスタルのコンクリートの一部がなくなっていることについて「耐震性が心配だ。どの程度損傷したら何が起きるのか、議論しておいた方がよい」旨の指摘をした(二〇二二年五月二十六日読売新聞)。

 そして更田氏は六月一日の会見で、「ペデスタルの強度が失われた時に何が起きるのか、検討はしておくべきだ」と語っている(二〇二二年六月二十六日読売新聞)。

一 政府は、更田規制委員長が言うように「ペデスタルの強度が失われた際にどのようなことが起きうるのか」について検討したか。検討しているとすればその検討結果を示されたい。

 いまだ検討していないとすれば、いつ検討作業を行うのかその計画を示されたい。

二 原子力規制委員会の伴委員は、六月二十日に行われた特定原子力施設監視・評価検討会で、福島第一原発一号機の原子炉圧力容器が落下した場合のリスクを、次のように指摘している。

 「結局、万が一RPVががさっと落ちたときに、いろいろつながっているものを含めて、結局、PCV側も損傷を起こして、そこからダストが出ていくというのがやっぱり一番怖いことではないかと」

 伴委員がこの発言で指摘する事態が起こりうる可能性を、政府として認めるか。

三 東京電力は「一号機 原子炉格納容器内部調査の状況について」(二〇二二年六月二十日)という資料の中で、ペデスタルの支持機能損傷で原子炉圧力容器が落下する可能性は低いという旨の見解を示している。

 東京電力が同資料で示した影響評価について、政府はどのように評価しているか。

四 東京電力の資料「一号機原子炉格納容器の漏洩箇所の推定」(二〇二二年九月十二日十三頁)では、福島第一原発一号機ペデスタル内調査は二〇二三年三月に行われる計画になっている。

 このペデスタル内調査と他の調査の順番について、二〇二二年六月二十日の特定原子力施設監視・評価検討会で東京電力担当者は次のように説明している。

 「まずはできるだけ知見拡充というところ優先して、こちらROV―D、デブリ検知ですとかサンプリングというのは、どちらかというとペデスタル外側の作業をやって、最終的に一番難易度の高い作業リスクの高いペデスタル内の調査というところを最後に持っていくということで、また適宜、知見等拡充した上で、説明、皆さんへの説明等したいというふうに考えてございます。」

 政府は耐震性が懸念されるペデスタル内調査を「最後に持っていく」という東京電力のスケジュールをどう評価しているか。

 ペデスタル内調査を優先的に早期実施するよう、東京電力を指導する必要性をどう考えるか。

五 福島県の高坂原子力対策監は二〇二二年六月二十日の特定原子力施設監視・評価検討会で、次のように「ペデスタル支持機能に係る調査を急ぐべき」という福島県からの意見を伝えている。

 「今後のROV使った調査の予定があって、県で意見が出ているのは、ペデスタルの支持機能に係る調査を急ぐべきで、ペデスタル内の調査は先にすべきではないかということです。何故ROV―A2を使用したペデスタル内の調査が調査の最後になっていて遅くないか、ということでした。」

 政府としては、このペデスタル支持機能調査を急いでほしいという福島県の意向をどのように受け止めているか。

 福島県の意見を受け止め、東京電力にペデスタル調査時期の前倒しを求める意思はあるか、政府の見解を示されたい。

六 仮にペデスタル内の調査を二〇二三年三月に実施する場合、支持機能の健全性が確認される時期はいつと政府は認識しているか。

  右質問する。