質問主意書

第210回国会(臨時会)

質問主意書

質問第六四号

原子炉の耐用年数に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年十二月八日

辻元 清美


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   原子炉の耐用年数に関する質問主意書

 原子炉の耐用年数については、平成二十四年二月七日の参議院予算委員会で、以下の政府答弁がある。

 ○細野豪志環境大臣 四十年とした根拠でございますけれども、まず、原子炉の圧力容器の中性子照射脆化、すなわち、中性子がずっと当たりますから、そのことによって圧力容器が弱くなります。それがどれぐらいの弱さになっているかというのを、急激に冷めた場合にどの温度で原子炉が危なくなるかという分析をしておりまして、その数字を見ておりますと、これが四十年という辺りで例えば百度ですとか八十度まで下がると脆化をするという、そういうデータがございます。

 すなわち、今回のような大きな事故が起こった場合に、水を入れます。水を入れて原子炉の温度が下がる場合に、百度よりも下がってくると、急激に下がるその状況に耐えられない可能性が出てくるというデータがございます。そういったデータも含めて、既に現在設置をされているほとんどの原子炉につきましては、中性子照射の脆化について想定年数を四十年として申請をしております。(答弁一)

 答弁一によれば「既に現在設置をされているほとんどの原子炉につきましては、中性子照射の脆化について想定年数を四十年として申請をして」いるとしており、さらに令和四年十二月六日の参議院環境委員会で、辻元清美の質問に答えて政府は以下の文書の存在を認めた。

 日本原子力発電株式会社・東海第二発電所「原子炉設置許可申請」第八十四部会参考資料(昭和四十七年十二月)(資料一)

 東京電力株式会社・福島第一原子力発電所「原子炉設置変更許可申請(三号炉増設)」第五十五部会参考資料(昭和四十五年一月)(昭和五十年七月整理)(資料二)

 資料一には「寿命末期、つまり四十年後」の記載があることを政府は確認しており、このことから東海第二発電所の原子炉の耐用年数は四十年を想定していることが明らかである。

 資料二には「当社は、発電所の耐用年数を三十年として指示したが、メーカーは(中略)主要機器の設計耐用年数を四十年としている」の記載があることを政府は確認しており、このことから福島第一原子力発電所も同様に原子炉の耐用年数は四十年を想定していることが明らかである。

 また、同委員会の質疑で、政府はIAEAのデータを基に以下答弁している。

 ・世界で廃止を決定済みの原子炉は百九十九基

 ・その平均運転年数は約二十九年

 なお、参議院資源エネルギーに関する調査会(令和二年五月二十七日)で、以下のような答弁があった。

 ○更田豊志原子力規制委員会委員長 原子炉等規制法が定めている運転期間四十年というのは、この立法時の国会審議において、技術的見地のみならず、幅広い観点から議論が重ねられた上で法制化されたものと認識しており(後略)。(答弁二)

 以下、質問する。

一 答弁一における「四十年という辺りで例えば百度ですとか八十度まで下がると脆化をするという、そういうデータ」、「水を入れて原子炉の温度が下がる場合に、百度よりも下がってくると、急激に下がるその状況に耐えられない可能性が出てくるというデータ」は、誰の、どのような調査によるものか。

二 答弁一によれば「既に現在設置をされているほとんどの原子炉につきましては、中性子照射の脆化について想定年数を四十年として申請をして」いるということだが、日本の全ての原発について、「原子炉設置許可申請」、「原子炉設置変更許可申請」等やそれに相当する文書に記されている原子炉の耐用年数を明らかにされたい。耐用年数などが記されていない原発については、その名称も明らかにされたい。

三 世界で廃止を決定済みの原子炉は百九十九基、その平均運転年数は約二十九年ということだが、その中で最も原子炉の寿命が長かったものは何か。またその中で、四十年以上稼働した原発は存在するか。さらにその中で、六十年を超えて稼働した原発は存在するか。

四 答弁一においても政府見解が出されているが、原子炉等規制法が定めている運転期間四十年については、答弁二の「技術的見地」からも議論をして立法府で決められたという認識でよいか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。