質問主意書

第210回国会(臨時会)

質問主意書

質問第四五号

第二次岸田改造内閣における「日本共産党と破壊活動防止法」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年十一月二十五日

鈴木 宗男


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   第二次岸田改造内閣における「日本共産党と破壊活動防止法」に関する質問主意書

 本年七月十五日に日本共産党創立百周年を迎え、九月十七日に記念講演を行った日本共産党志位和夫委員長の発言を踏まえ、日本共産党と破壊活動防止法との関連について、質問する。

一 本年九月十七日「日本共産党創立百周年記念講演会」における志位和夫委員長の講演内容を把握しているか、政府の見解は如何。

二 志位和夫委員長は「党創立百周年記念講演会」において、日本共産党の「五十年問題」や民主集中制に言及しており、日本共産党が革命政党であることを強調している発言であると考えられるが、政府として日本共産党が革命政党であると認識しているか、見解は如何。

三 志位和夫委員長は記念講演の中で、「百年の歴史を通じて、わが党の最大の危機は、戦後、一九五〇年に、旧ソ連のスターリンと中国によって武装闘争をおしつける乱暴な干渉が行われ、党が分裂に陥るという事態が起こったことにありました。私たちはこれを「五十年問題」と呼んでいますが、この時、無法な干渉に反対し、党の分裂を克服して統一を実現するたたかいの先頭にたった宮本顕治さんは、後年、一九八八年に、次のようにのべています。「五十年問題は、日本共産党史上、最大の悲劇的な大事件だった。かつて、これほどの大きな誤りはなかったし、これからもないだろう。絶対にないことを願わずにはおれない」私は、この一文を読んだ時に、絶対主義的天皇制による苛烈な弾圧を体験した宮本さんが、それを上回る「最大の悲劇的な大事件」とのべたことに、あらためてこの問題がいかに深刻だったかを痛感したことが深く記憶に残っています。一九五〇年、干渉に呼応して分派をつくった徳田球一や野坂参三らは、占領軍による弾圧を利用し、党中央委員会を一方的に解体しました。分派によって武装闘争の方針の日本への流し込みが行われました。同時に、この危機をのりこえる過程で、わが党は大きな自己改革をとげていきました。」と述べ、また、自主独立の路線を土台にした綱領路線の理論的・政治的発展において「日本共産党の綱領路線は、「暴力革命論」との徹底したたたかい、否定のなかで形成されてきたものであって、公安調査庁がいくら妄想しようとも、「暴力革命論」が存在する余地などはどこにもないということを、強調しておきたいと思います。」と述べられている。

 志位和夫委員長の発言の中で言及されている宮本顕治氏は、いわゆる「日本共産党スパイ査問事件」で、仲間とともに同じ日本共産党中央委員をリンチし死亡させ、無期懲役判決を受けた人物だと認識する。日本共産党創立七十八周年記念講演会で不破哲三委員長(当時)は「一九三三年、二十五歳の若さで中央委員会に入った宮本さんらが二人のスパイに気づき、調査しました。その過程でスパイの一人が心臓死するという不幸な事件がおきました。宮本さんを逮捕した特高警察はこれを、「指導権争いによるリンチ殺人事件」だとして大々的にデマ宣伝。反共謀略ビラが宮本さんの事件としてとりあげたのは、六十七年前の特高警察のデマ宣伝をそのまま蒸し返したものです。」と述べられている。

 この「日本共産党スパイ査問事件」はどのような事件だと認識しているか、政府として認識している事件の詳細及び政府の見解は如何。

 また、無期懲役判決で収監され服役していた宮本顕治氏が、GHQの超憲法的な特別な指示によって判決が無効となったのは事実であるか、政府の見解は如何。

四 日本共産党のホームページには、二〇一九年三月二十三日付けで日本共産党国会議員団事務局が、「野党共闘の分断をもくろむ日本共産党へのいわれなき攻撃」という見出しで、「いま一部の国会議員から、国会内で日々発展・深化している野党共闘に、荒唐無稽な攻撃が加えられています。「共産党と連携しながらまっとうな政治とうそぶく、あの面々」というものです。共産党はまっとうな政党ではないから、連携する政党もまっとうでなくなるという言いがかりです。言いがかりは、公安調査庁が日本共産党を破防法にもとづく調査対象団体に指定していることを根拠にしています。三月七日、衆院総務委員会では、「総務行政とは関係のない発言に対しましては、ご遠慮願います」「話を変えてください」という総務委員長の制止の声を振り切って、足立康史議員(日本維新の会)が、共産党の破防法の指定の経緯などを質問しました。それに対し横尾洋一公安調査庁総務部長は、日本共産党について「現在においても、破壊活動防止法に基づく調査対象団体である」とし、戦後、「暴力主義的破壊活動を行った疑いがある」とか、「現在においても…「いわゆる敵の出方論」に立った「暴力革命の方針」に変更はない」などと述べました。これは日本共産党の綱領路線を百八十度ねじまげ、歴史の事実を歪曲(わいきょく)した悪質なデマです」と掲載している。また、「「敵の出方論」=「暴力革命」が成り立たないことははるか前に決着ずみ」という見出しで、「「敵の出方論」をもちだして「暴力革命」の根拠とする議論が成り立たないことは、一九八九年二月十八日の衆議院予算委員会における不破哲三委員と石山陽公安調査庁長官(当時)との論戦でも決着ずみのものです。」と掲載している。

 現在においても、日本共産党がいわゆる「敵の出方論」に立った「暴力革命」の方針に変更はない政党であると、政府は認識しているか、見解は如何。

五 安倍晋三内閣、菅義偉内閣、岸田内閣において「日本共産党は、破壊活動防止法(昭和二十七年法律第二百四十号)に基づく調査対象団体であり、また、同党は、日本国内において同法第四条第一項に規定する暴力主義的破壊活動を行った疑いがあり、同党のいわゆる「敵の出方論」に立った暴力革命の方針に変更はないものと認識しており、この認識については、従来から変わりはない」と答弁されてきた。

 日本共産党志位和夫委員長の「日本共産党創立百周年記念講演会」での発言について、これまでの政府の答弁を踏まえ、政府の見解は如何。

  右質問する。