質問主意書

第210回国会(臨時会)

質問主意書

質問第三五号

新型コロナワクチン購入契約の情報公開に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年十一月九日

神谷 宗幣


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   新型コロナワクチン購入契約の情報公開に関する質問主意書

 政府は、新型コロナワクチンについて、令和二年九月から今年三月までに二兆四千億円の予算措置を講じ、八億八千二百万回接種分を確保している。

 この数量は、我が国の二〇二二年一月現在の総人口一億二千三百二十二万三千五百六十一人が七回以上接種しても余るほどであり、各国におけるパンデミック対応の収束状況を鑑みればあまりに過大なストック状況といわなくてはならない。

 この点について財務省は、「結果として総人口×接種回数を大きく上回る数量の購入となっているが、ワクチンがもたらす感染拡大防止の効果ひいては経済的な効果も踏まえたうえで、費用対効果を考えるべき」としながら、「今後とも、ワクチンが必要となる時期や変異株への対応などを可能な限り見込みながら適切な調達に努めること」としている(令和四年四月十三日開催財政制度等審議会財政制度分科会財務省作成資料)。

 このワクチン確保のみに国家予算の二%を上回る膨大な予算が割かれているという異常に見える措置の政策意図や合理的説明について、政府はワクチン提供企業と秘密保持契約を締結していることを理由に明らかにしていない。

 日本貿易振興機構(JETRO)ウェブサイトに掲載された「ビジネス短信」二〇二一年一月十九日付記事「新型コロナワクチン接種で先行のイスラエル、ファイザーとの契約書を公開」において、イスラエルでは、昨年、ワクチン供給と引き換えに被接種者の医療情報をファイザーなどのワクチン供給元に提供すると現地紙が報じたことをきっかけに、同国政府が透明性を担保するためとして、ファイザーとの間で締結された契約書を公開したことが報じられている。

 また、欧州議会議員Rob Roos氏は、二〇二二年十月十一日に自身のTwitterにおいて、「COVID公聴会でファイザー社のディレクターは、ワクチンについて感染防止効果のテストはしていないことを認めた。「他者に対する感染を防止するために予防接種を受ける」という呼び掛けは、全くの嘘」であり、「COVIDパスポートの唯一の目的は人々にワクチン接種を強制することである」と述べている。

 以上の情報に鑑みるなら、全国民が七回以上接種してもなお、余る量のコロナワクチンを政府が確保した意図に大きな疑念を持たざるを得ない。

 そこで、以下質問する。

一 欧州議会のCOVID公聴会でファイザー社役員が「ワクチンを接種すればウイルスを他の人への感染を防止できるかどうかについては、テストを行っていない」と述べたとされていることについて、政府は状況を調査したか。政府のいう「ワクチンがもたらす感染拡大防止の効果」とはどのような根拠に基づくものか。

二 令和四年三月の予備費においても、ワクチン接種一億七千三百万回分が確保されている。すでに新型コロナウイルスの流行は、重症化率がデルタ株以前と比べて大きく低下しているオミクロン株に置き換わっている現状において、これほど多くの新型コロナワクチンを確保する必要性はないのではないか。あわせて、今後のワクチン確保について、いつまで、どのような規模で継続させるのか、あるいは継続させないのか、理由を含めた政府の考えを示されたい。

三 令和四年四月十八日の衆議院決算行政監視委員会において、後藤茂之厚生労働大臣(当時)は、「交渉中や契約締結後も含め、交渉や契約に関する情報が公になった場合は、企業側が他国と交渉する際に不利益を被るおそれがあり、その結果、我が国とは契約を結ばないという事態になることを避けるために、企業と秘密保持契約を締結している」と答弁している。そうであるとすれば、企業側が他国と交渉する際に不利益を被るおそれがない事項については、可能な限り国民に明らかにすべきではないか。また、同秘密保持契約の内容を岸田文雄総理大臣は承知しているのか。

四 前記三で取り上げた答弁において後藤大臣は、「将来的にどの範囲の情報を公表することができるかにつきましては、引き続き、企業との間でコミュニケーションを重ね、可能な限りの情報公開に努めてまいりたい」と答弁しているが、これは、秘密保持契約の解除を含めて、現在企業側と協議を進めているということか。

五 今後、新型コロナワクチンの接種後死亡事例等に関し、訴訟等が提起される可能性がある。法廷における審理で証拠請求があった場合等、秘密保持契約の制約にもかかわらず同契約の内容は証拠提供されるのは当然と考えるが、政府としてどう判断するか。

  右質問する。