質問主意書

第210回国会(臨時会)

質問主意書

質問第二五号

外国投資家の株式保有割合の増加に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年十月二十四日

神谷 宗幣


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   外国投資家の株式保有割合の増加に関する質問主意書

 上場企業に占める外国投資家(外国法令に基づいて設立された法人その他の団体又は外国に主たる事務所を有する法人その他の団体をいう。以下同じ。)の株式保有比率は、一九九〇年に五%未満だったところ、この三十年間で三十%を超え、大幅に増加している。かつては、日本企業の代表格であったシャープ、日産、ソニー、富士通、東芝なども、既に五十%以上の株式が外国投資家に保有されている。

 この点、政府は、一九九〇年代以降、株式持ち合いの解消、三角合併の解禁、規制緩和などにより、上場株式における外国投資家の保有割合を増加させるための政策をとってきた。

 一般的に、外国投資家の保有割合が高い企業の投資家に対する配当は、年々増加傾向にある一方で、人件費や設備投資が抑制される傾向がある。こうして国内で生み出された富の国内への還元率が減少した結果、三十年にわたり国内労働者の賃金が上がらない悪循環に陥っていると考える。行き過ぎた外国資本への依存は、国内の富の海外流出を促進する結果を招く。このままでは、外国の植民地のような経済に陥りかねない。

 我が国の国益を守るため、一定の基準や対処策が必要である。このような観点から、以下、質問する。

一 一九九〇年代以降、政府がこのような外国投資家の対日直接投資を増加させる政策をとった目的は何か。外国投資家の株式保有割合の適正水準について、政府はどう認識しているか。現状は適正水準の範囲内と考えているのか。政府の認識を明らかにされたい。

二 現行法では、「航空法」、「電波法」、「放送法」、「NTT法」等において、外国投資家の保有比率が一定割合に制限されているところ、それぞれどのような目的で規制を設けているのか、その立法趣旨を示されたい。

三 外国投資家が原子力発電などの重要インフラ、防衛に関わる事業などを営む上場企業の株式を取得する際には外国為替及び外国貿易法に基づき事前届出が義務付けられているところ、現在、事前届出が行われた企業は何社あるか。当該企業名、外国投資家名を明らかにされたい。

四 令和四年三月二十五日の衆議院財務金融委員会において、鈴木俊一国務大臣は、「企業の利益につきましては、株主への配当、配分だけではなくて、持続的な成長のために新事業等に再投資すること、長期的な視点で賃金など従業員等へ人材投資をしていくこと、これが重要なことではないか」と答弁した。これについて、現在、政府が検討している施策を示されたい。

五 国が外国投資家による新たな株式取得を規制することができる現行法制上の手段としては、どのようなものが挙げられるか。また、外国投資家の取得した我が国の上場企業の株式保有割合を減少させることができるとすれば、現行法制上、どのような方法が挙げられるか。

六 本質問主意書の趣旨と同様の理由で外国投資家の株式保有を規制している海外の法制度について、具体的な例を挙げられたい。

  右質問する。