質問主意書

第210回国会(臨時会)

質問主意書

質問第二二号

「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年十月二十四日

神谷 宗幣


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」に関する質問主意書

 国境離島や防衛施設周辺等における土地の所有・利用をめぐっては、かねてから、実態が不透明な土地取引が行われていること等の指摘から、安全保障上の懸念が示されてきた。

 こうした状況を踏まえて有識者会議が設置され、新規立法措置が必要との提言に基づいて、令和四年九月、自衛隊基地や原子力発電所の周辺及び国境離島等、安全保障上重要な土地や離島の機能を阻害する土地等の利用を防止する「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(以下「重要土地等調査法」という。)が全面施行されるに至った。

 しかし当初は、安全保障上重要な土地等の外資による売買など取引自体の規制が検討されていたものの、与党内協議を経た結果、「土地等の利用規制」に限られるなど大きく後退したものとなった。

 円安を背景に中国など外資による土地買収が加速するとともに、日々厳しくなる我が国の安全保障環境を直視すると、重要土地等調査法は、迅速性、実効性からみても極めて心許ない内容と言わざるを得ない。

 米国においては、二〇一八年米国国防権限法の成立により、新たに「外資による土地取引規制」が導入されて、安全保障に影響を及ぼす可能性があるものを外国人に売却・貸与・譲渡する際にはCFIUS(対米外国投資委員会)が審査するとしている。このCFIUSは土地や建物について、外国法人による購入だけではなく、リースや土地使用権の取得も審査対象としている。我が国もCFIUSのような包括的な外資規制が必要と考える。

 そこで以下質問する。

一 我が国をめぐる現在の厳しい安全保障環境を踏まえると、我が国も米国の「CFIUS」のような包括的な外資規制制度が必要であり、土地取得そのものを規制すべきではなかったのか。政府にはそのような考えはないのか。ないのであれば、その理由を説明されたい。

二 当初検討されていた取引規制が利用規制にとどめられた経緯と理由について説明されたい。

三 重要土地等調査法第九条では、「注視区域内にある土地等の利用者が当該土地等を重要施設の施設機能又は国境離島等の離島機能を阻害する行為の用に供し、又は供する明らかなおそれがあると認めるとき」について、内閣総理大臣は、同利用者に対して勧告及び命令を行うことができる旨規定されており、第二十五条において同命令に違反した場合の罰則規定が設けられているところ、これら罰則を伴う「機能を阻害する行為」とは、具体的にどのような行為が該当するのか、例示されたい。

四 外国軍情報機関による自衛隊基地に対する情報収集活動を防止するため、「注視区域」又は「特別注視区域」の土地や物件を、可能な限り国が収用して公的な用途に供することは可能か。

五 外国資本が「注視区域」又は「特別注視区域」内の土地を取得するため、日本人協力者等を利用し、何らかの方法で土地所有者を偽装する場合が想定されるが、こうした違法行為を未然に防止し、又は調査するための具体的方策は検討されているか。

  右質問する。