質問主意書

第210回国会(臨時会)

質問主意書

質問第二一号

中国の海外警察拠点に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年十月二十四日

神谷 宗幣


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   中国の海外警察拠点に関する質問主意書

 令和四年九月二十九日付け米FOX NEWSウェブ版は、スペインに本部を置く人権監視団体NGO「Safeguard Defenders」が九月に発行した「海外一一〇番:中国の国境を越えた警察の暴走(110 Overseas : Chinese Transnational Policing Gone Wild)」と題するレポートを引用し、中国警察は米国やカナダに中国系市民を監視するための海外拠点を開設していると報じている。

 同NGOのレポートによると、中国政府は、海外在住中国人による詐欺事件が問題となっているため、二〇二一年四月から二〇二二年七月までに二十三万人の詐欺容疑者に対して、中国への「帰国説得」に成功したと公表している。

 「帰国説得」とは、中国の警察当局が海外に設置した拠点等を活用して、海外在住容疑者を帰国させるもので、同レポートによると、その方法として、次の(一)から(三)があるとしている。

(一) 海外在住容疑者の中国にいる家族を探し出し、脅迫、嫌がらせ、拘留、監禁などの手段で圧力をかけ、逃亡犯を自主的に帰国させるよう家族を説得する。

(二) 海外在住容疑者に直接アプローチする。オンラインで容疑者に接近又は海外潜入捜査官や代理人を派遣して、逃亡犯に脅迫や嫌がらせをして帰国を促す。

(三) 海外在住容疑者を誘拐して強制的に帰国させる。

 また、同レポートはこのような中国警察の海外拠点は世界中に存在しているとして、その一部について、中国メディアの記事を引用し、その具体的な所在地リストを公表している。

 それによると、東京都内にも中国警察の海外拠点として、「福州公安」の「海外一一〇番警察報告服務台」が存在するとしており、その所在地と名称を明らかにしている。

 そこで以下質問する。

一 政府は、中国警察の海外拠点が我が国国内に存在し、右のような捜査・取締りに準じた活動を行っている事実を把握しているか。把握しているのであれば、これは国際捜査共助等に関する法律に基づいて実施されているものか。

二 中国の捜査当局が我が国国内で、右のような捜査・取締り活動を展開しているのであれば、我が国の司法権や日本国憲法が保障する人権諸規定を侵害するものではないか、政府の見解如何。

三 前記NGOのレポートは、こうした中国警察の海外拠点と中国共産党の統一戦線工作組織との結び付きを示唆している。我が国における中国共産党統一戦線工作組織について二〇一八年二月十二日付け新華網日本語版は「二月十一日、東京都文京区の日中友好会館で、全日本華人中国和平統一促進協議会を設立した」旨を報じている。こうした組織が我が国で何を目的にどのような活動をしているのか政府として把握しているか。

  右質問する。