質問主意書

第210回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一九号

父母の離婚後の親権者に関する規律に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年十月二十四日

神谷 宗幣


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   父母の離婚後の親権者に関する規律に関する質問主意書

 現在、法務省法制審議会で家族法制の見直しが議論され、その中で、父母の離婚後の親権者に関する規律、いわゆる「共同親権」の導入などが議論されている。

 議論の背景には、社会現象として、離婚後、子と同居している親によって子と同居しない親が疎外されて子に会えなくなっている事例が多々発生していること、特に、国際結婚の場合に子と会えなくなった親が、子と会えない原因は、我が国の単独親権制度によるものだと批判されていること、少子化時代において離婚後も双方の親との関わりがあることが子の利益になるという知見が広まっていること等が挙げられる。

 この点、親権の在り方は、各国の歴史、文化、習慣、宗教と深く関わっており、離婚後「双方の父母を親権者と定める」条文改正のみで、問題となっている社会現象が一気に解決するわけではない。また、国連や海外から我が国の「単独親権」に対する批判がなされているが、離婚後「双方の父母を親権者と定める」条文改正のみではなく、問題の所在がどこにあり、解決のために何をすべきかを議論しなければ、その批判に応えることにならない。

 そこで、以下質問する。

一 政府は、我が国における父母の離婚後の子の養育について、子が両親のそれぞれと、どのような関係を築くことが子の利益になると考えているか。

二 国連子どもの権利委員会(平成三十一年二月一日開催)において、我が国の「単独親権」に対する批判がなされているほか、欧州議会本会議(令和二年七月八日)において子の連れ去りにより残された親の面会交流に関する司法判決の着実な執行を求めること等が採択されているところ、そのような国際社会の声に応えるための解決策としてどのような方策が必要と考えているか。

三 共同親権制度を認める場合、離婚時に父母間で協議が調わないときは、最終的には、家庭裁判所が当該事項について親権を行う者を定めることとなろうが、その際、家庭裁判所では、様々な調査を要することとなる。我が国では裁判官数や家庭裁判所調査官数等が諸外国に比較して少ないところ、共同親権制度のもとで国が家庭内の事柄に介入するに当たり、どのような人材の補給、支援機関の整備、予算増を予定することになるか。

四 離婚後、子と同居している親によって子と同居しない親が疎外されて子に会えなくなっている事例が多々発生していることに関し、面会交流の充実を図るため、どのような方策を講じるか。

  右質問する。