質問主意書

第210回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一七号

岸田内閣の臨時会召集が憲法第五十三条に違反すること等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年十月六日

小西 洋之


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   岸田内閣の臨時会召集が憲法第五十三条に違反すること等に関する質問主意書

一 政府は、憲法第五十三条の趣旨について、「国会の臨時会の召集について定めたものであり、同条の規定により、いずれかの議院の総議員の四分の一以上から、国会の臨時会の召集要求があった場合には、内閣は、臨時会で審議すべき事項等をも勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に臨時会の召集を行うことを決定しなければならないものと考えており、この定めは、憲法に規定されている義務であると考えている。」と答弁しているが、ここでいう、「憲法に規定されている義務」とは内閣の政治的な義務と考えているのか、あるいは、内閣の憲法上の法的な義務と考えているのか。

二 衆参の国会議員は、本年八月十八日に臨時会の召集要求を行っているが、内閣による本年十月三日の臨時会の召集はこの召集要求に応えたものなのか。

三 政府は、本年八月十八日の衆参の臨時会召集要求においてはどのような理由及び目的によって召集要求がなされ、かつ、どのような事項を審議するために召集要求がなされたものと理解しているか。

四 政府は、岸田総理の衆参議長に対する文書において、「当面の諸案件の審議を求めるため、来る十月三日に、臨時国会を召集することを決定いたしましたから、」としているが、この「諸案件」には前記三で質問しているところの臨時会での審議を必要とするとされた事項が漏れなく含まれているのか。

五 「臨時会で審議すべき事項等をも勘案して」について、本年八月十八日に衆参の臨時国会召集がなされてから本年十月三日に臨時会を召集するまでの間、政府は具体的にどのような「審議すべき事項等」をどのように「勘案」していたのか。与党とも召集時期を相談していたのか。

六 本年八月十八日の衆参の臨時国会召集要求に対して、政府が本年十月三日に臨時会を召集することが、「召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内」になされた召集であると考える理由について説明されたい。不当に遅滞した召集であり、憲法第五十三条に違反する召集ではないのか。

七 本年八月十八日の衆参の臨時国会召集要求に対して、政府が本年十月三日に臨時会を召集したのは本年九月二十七日の国葬儀の実施のためなのか。また、当該召集要求に対する政府による「臨時会で審議すべき事項等をも勘案して」の「事項等」には国葬儀の実施も含まれているのか。

八 新型コロナウイルスのオミクロン株の感染爆発が生じ、医療崩壊などにより多くの国民が死亡等している間、本年八月十八日の臨時会召集要求を無視して、政府が臨時会を本年十月三日に召集したことは、憲法第五十三条に違反する行為であり、臨時会による国会審議もないままに新型コロナウイルス感染症により多くの国民の生命、尊厳を傷付けた行為として万死に値する暴挙ではないか。

  右質問する。