質問主意書

第210回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一二号

消費者契約法の霊感商法等による消費者契約の取消権の解釈(旧統一教会による被害への適用)に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年十月四日

小西 洋之


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   消費者契約法の霊感商法等による消費者契約の取消権の解釈(旧統一教会による被害への適用)に関する質問主意書

 消費者契約法においては、霊感商法等の不当な勧誘によって消費者契約を締結した場合について、取消権が規定されているところ(第四条第三項第六号等)、この取消権の対象は、「消費者」と「事業者」の間で締結される「消費者契約」の申込み又はその承諾の意思表示であるが、消費者庁の逐条解説によれば、①宗教法人は「事業者」であり、②宗教活動を行う教祖及び信者については、その活動に事業性があれば「事業者」となるとした上で、宗教活動に伴う献金等が消費者契約法の「消費者契約」に該当するかどうかは、民法上の「契約」の概念に該当するかという解釈によって定まるものとされている。

一 消費者庁はこの取消権の旧統一教会に関する献金事案への適用について明確な説明を拒んでいるが(野党への説明では、「適用できない」と明言したり、「適用の余地もあり得るかもしれない」と発言したりしている)、学説では、例えば、民法の贈与と考える説や、「実体に応じた贈与、売買または贈与や売買類似の無名契約、あるいは信託行為とみるなど多元的な法律構成」(棚村政行「宗教団体への献金等について」宗教法十六号)などの見解もあるところであり、一般論として、旧統一教会を巡る献金事案には、民法上の贈与契約など「消費者契約」に該当し得るものがあるのではないか、政府の見解を示されたい。

二 前記一について、一般論として、旧統一教会に限らない宗教活動の献金等には、民法上の贈与契約など「消費者契約」に該当し得るものがあるのではないかについて、政府の見解を示されたい。

三 消費者契約法第四条第三項第六号等に定める取消権は消費者契約の締結の時から五年で時効によって消滅することからも、政府においては、早急にこれが旧統一教会を巡る献金事案に適用可能なのかどうかについての解釈を示すとともに、必要に応じてガイドラインを作成し、そして、取消権行使の実効性を確保するための支援体制の構築等を行うべきではないか、政府の見解を示されたい。

四 宗教活動に伴う献金等については、不法行為に基づく損害賠償請求を認めた裁判例があるところ(福岡地判平成六年五月二十七日ほか)、政府においては、宗教活動に伴う献金等に関して、不法行為責任を認めた判例・裁判例を分かりやすく紹介した資料を作成し、国民に提供すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。