質問主意書

第209回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二〇九第二四号
  令和四年八月十五日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員小西洋之君提出安倍元総理の国葬儀の法的根拠等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出安倍元総理の国葬儀の法的根拠等に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「国の儀式」という用語は、日本国憲法第七条第十号に規定する儀式その他閣議決定により「国の儀式」として位置付けられた儀式を意味するものとして内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)において用いられてきているものであり、当該用語の一部分だけを切り取って、その意味するところについて一義的にお答えすることは困難である。

二について

 御指摘の内閣法(昭和二十二年法律第五号)第一条は、内閣の職権及び国会に対する内閣の責任について定めることを趣旨としており、同条は内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)により、中央省庁等改革の一環として、内閣が国民主権の理念にのっとりその職権を行うべき旨を明らかにするため、同条第一項に「国民主権の理念にのつとり」との文言が追加されるとともに、同条第二項において、内閣が行政権の行使について連帯して責任を負うのは、「全国民を代表する議員からなる国会」であると明記されたものと承知している。

三について

 閣議決定を根拠として国の儀式である国葬儀を行うことは、国の儀式を内閣が行うことは行政権の作用に含まれること、内閣府設置法第四条第三項第三十三号において内閣府の所掌事務として国の儀式に関する事務に関することが明記されており、国葬儀を含む国の儀式を行うことが行政権の作用に含まれることが法律上明確となっていること等から、可能であると考えている。

四について

 お尋ねのいわゆる「法律による行政の原理」は、行政は法律に基づいて、かつ、法律に従って行わなければならないという基本的な原則であると承知している。

 また、閣議決定を根拠として国の儀式である国葬儀を行うことが可能であることについては、三についてで述べたとおりであり、「国民の権利を制限しあるいは国民に責任を課すものでなければ、すべて根拠規範たる法律がなくともその行政権の行使ができると考え」たものではない。

五について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、閣議決定を根拠として国の儀式である国葬儀を行うことが可能であることについては、三についてで述べたとおりである。

六について

 閣議決定を根拠として国の儀式である国葬儀を行うことについては、令和四年七月十二日、内閣官房及び内閣府から内閣法制局に対して意見を求め、同局においては、これに対し、所要の検討を行った上、同月十四日、意見はない旨の回答をしたところ、同府においては、意見を求める際に内閣府設置法第四条第三項第三十三号の解釈に関する資料を提示し、同局においては、検討に際してこれを確認しており、いずれにせよ、政府として適切に検討を行ったものと考えている。

七について

 政府としては、御指摘の「公式制度連絡調査会議において、国葬には法律が必要との認識に基づき、いわゆる国葬法の制定の検討のための内閣提出法案たる公式制度調査会議設置法案の作成と国会提出の検討まで行っていた」及び「従前の政府の取組を無視し」たとの認識は有していない。閣議決定を根拠として国の儀式である国葬儀を行うことが可能であることについては、三についてで述べたとおりである。

八について

 故安倍晋三国葬儀の当日における弔意表明の在り方については、現在検討しているところであり、現時点でお尋ねについてお答えすることは困難である。

九について

 御指摘の「発言」があったことは承知しているが、当該「発言」の内容に係る事実関係については承知していない。また、お尋ねの「安倍元総理の国葬儀に国会役員等を葬儀関係者として任命等する」ことは、現時点では考えていない。