質問主意書

第209回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二〇九第一〇号
  令和四年八月十五日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員辻元清美君提出安倍晋三元総理の国葬儀等についての基準に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員辻元清美君提出安倍晋三元総理の国葬儀等についての基準に関する質問に対する答弁書

一について

 故安倍晋三国葬儀を行うことは、岸田内閣総理大臣が令和四年七月十四日の記者会見において表明し、同月二十二日に閣議決定したものである。

二について

 御指摘の「法令の根拠」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現在までに国葬儀について規定した法律はない。閣議決定を根拠として国の儀式である国葬儀を行うことは、国の儀式を内閣が行うことは行政権の作用に含まれること、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四条第三項第三十三号において内閣府の所掌事務として国の儀式に関する事務に関することが明記されており、国葬儀を含む国の儀式を行うことが行政権の作用に含まれることが法律上明確となっていること等から、可能であると考えている。

三及び五について

 元内閣総理大臣の葬儀の在り方については、これまでも、その時々の内閣において、様々な事情を総合的に勘案し、その都度ふさわしい形を判断してきたところであり、現時点においても、これまでと同様の取扱いを踏襲することは可能であると考えていることから、お尋ねの「基準」については検討しておらず、存在しない。

四について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、内閣が関与して行われた元内閣総理大臣の葬儀に必要な経費は、これまでも一般会計予備費を使用してきており、国会の承諾を得ている。

六について

 元内閣総理大臣の葬儀の在り方については、これまでも、その時々の内閣において、様々な事情を総合的に勘案し、その都度ふさわしい形を判断してきたところである。

七について

 戦後、内閣が関与して行われた元内閣総理大臣の葬儀に要した費用について、①予算額に占める国費の割合及び②執行額をお示しすると、それぞれ次のとおりである。

 吉田茂元内閣総理大臣 ①十割 ②約千八百四万円

 佐藤榮作元内閣総理大臣 ①約五割 ②約千九百九十六万円

 大平正芳元内閣総理大臣 ①約五割 ②約三千六百四十三万円

 岸信介元内閣総理大臣 ①約五割 ②約四千五百十万円

 三木武夫元内閣総理大臣 ①十割 ②約一億千八百七十一万円

 福田赳夫元内閣総理大臣 ①約五割 ②約七千三百三十四万円

 小渕恵三元内閣総理大臣 ①約五割 ②約七千五百五十五万円

 鈴木善幸元内閣総理大臣 ①約五割 ②約五千四百四十九万円

 橋本龍太郎元内閣総理大臣 ①約五割 ②約七千七百三万円

 宮澤喜一元内閣総理大臣 ①約五割 ②約七千五百八十五万円

 中曽根康弘元内閣総理大臣 ①約五割 ②約八千二百九十五万円

 故安倍晋三国葬儀のため必要な経費の具体的な額については、現時点では決まっていない。

八について

 故安倍晋三国葬儀の具体的内容は現在検討しているところであるが、いずれにせよ、新型コロナウイルス感染症の感染状況に応じ、適切に対応する考えである。

九及び十について

 御指摘の「条件である」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の答弁は、元内閣総理大臣の葬儀の在り方について、その時々の内閣において、様々な事情を総合的に勘案し、その都度ふさわしい形を判断すべきものである旨を述べたものと理解しており、故安倍晋三国葬儀の実施の考え方については、令和四年七月十四日の記者会見において、岸田内閣総理大臣が「安倍元総理におかれては、憲政史上最長の八年八か月にわたり、卓越したリーダーシップと実行力をもって、厳しい内外情勢に直面する我が国のために内閣総理大臣の重責を担ったこと、東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開等の大きな実績を様々な分野で残されたことなど、その御功績は誠にすばらしいものであります。外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けており、また、民主主義の根幹たる選挙が行われている中、突然の蛮行により逝去されたものであり、国の内外から幅広い哀悼、追悼の意が寄せられています。こうした点を勘案し、この秋に国葬儀の形式で安倍元総理の葬儀を行うことといたします。」と述べているとおりである。

十一について

 御指摘の「当時の内閣法制局の見解」については、調査した限りでは、政府内にその存在及び内容を把握することができる記録が見当たらないことから、これに関するお尋ねについてお答えすることは困難である。

 また、内閣法制局においては、御指摘の「安倍晋三元総理の葬儀を国葬とする」ことについて具体的な検討は行っていないが、閣議決定を根拠として国の儀式である国葬儀を行うことは、国の儀式を内閣が行うことは行政権の作用に含まれること、内閣府設置法第四条第三項第三十三号において内閣府の所掌事務として国の儀式に関する事務に関することが明記されており、国葬儀を含む国の儀式を行うことが行政権の作用に含まれることが法律上明確となっていること等から、可能であるとする見解について、内閣官房及び内閣府から意見を求められたことから、これに対し、所要の検討を行った上、意見はない旨の回答をしたところである。

十二から十四までについて

 元内閣総理大臣の葬儀の在り方については、これまでも、その時々の内閣において、様々な事情を総合的に勘案し、その都度ふさわしい形を判断してきたところであるが、故安倍晋三国葬儀の実施の考え方については、九及び十についてで述べたとおりである。