質問主意書

第209回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二〇九第三号
  令和四年八月十五日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員塩村あやか君提出特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則の解釈に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員塩村あやか君提出特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則の解釈に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「従前の裁判例と同様にログイン通信を行った者と権利侵害投稿を行った者との間に同一性が認められる場合であれば、引き続き開示対象となる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則(令和四年総務省令第三十九号。以下「規則」という。)第五条では、御指摘の「開示対象」となるログイン時等の通信の範囲について、「侵害情報の発信者が」「行った識別符号その他の符号の電気通信による送信」であって、「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」に限定しており、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律(令和三年法律第二十七号)による改正後の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号。以下「法」という。)第五条の規定による発信者情報の開示請求に基づく開示については、裁判所において、個別の事案に応じ、同条の規定の趣旨にのっとり適切に判断されるものと考えている。

 また、お尋ねの令和四年三月十六日から同年四月十四日まで意見公募手続を実施した特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則案(以下「規則案」という。)第五条の「侵害情報の送信の直近に行われたもの」を規則において「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」に改めた趣旨は、総務省が同年五月二十七日に公表した「「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則案」に対する意見募集結果」(以下「意見募集結果」という。)の「考え方六―二」において、「「直近」とは、特定電気通信役務提供者が通信記録を保有している通信のうち、例えば、侵害情報の送信と最も時間的に近接して行われた通信等が該当し、当該通信記録が一定期間より前のものであることだけを以て一律に直近性が否定されるものではありません。こうした点などを明らかにするため、「送信の直近に行われたもの」を「送信と相当の関連性を有するもの」に修正します。」と示したとおりであり、規則案第五条第二号の「当該侵害情報の送信より前に」及び同条第三号の「当該侵害情報の送信より後に」を規則において削除した趣旨は、意見募集結果の「考え方六―九」において、「裁判例を踏まえ、本施行規則案第五条第二号の「当該侵害情報の送信より前に」及び第三号の「当該侵害情報の送信より後に」を削除させていただきます。」と示したとおり、侵害情報の送信より後に割り当てられたIPアドレスから把握される発信者情報の開示を認めた裁判例があることを踏まえ、侵害情報の送信より後に行われたログイン通信も法第五条第三項に定める侵害関連通信(以下「侵害関連通信」という。)に含めるとともに、侵害情報の送信より前に行われたログアウト通信も侵害関連通信に含める趣旨である。

二について

 お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、一についてでお答えしたとおり、規則第五条では、「開示対象」となるログイン時等の通信の範囲について、「侵害情報の発信者が」「行った識別符号その他の符号の電気通信による送信」であって、「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」に限定しており、各ログイン時等の通信が侵害関連通信に該当するかについては、裁判所において、個別の事案に応じ、法第五条の規定の趣旨にのっとり適切に判断されるものと考えている。