質問主意書

第209回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一一号

安倍晋三元総理の国葬儀当日における弔意表明に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年八月四日

辻元 清美


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   安倍晋三元総理の国葬儀当日における弔意表明に関する質問主意書

 昭和四十二年十月二十五日閣議了解「故吉田茂国葬儀当日における弔意表明について」では、「一、各省庁においては、(一)弔旗を掲揚すること。(二)葬儀中の一定時刻に黙とうすること。(三)各省庁の長は、当日午後は公務に支障のない範囲内において職員が勤務しないことを認めることができること。(四)公の行事、儀式その他歌舞音曲を伴う行事はさしひかえること。二、以上の各項については、各公署、学校、会社その他一般においても同様の方法により哀悼の意を表するよう協力方を要望すること。」と記載されている。

 また、昭和五十年六月十一日閣議了解「故佐藤榮作国民葬儀当日における弔意表明について」では、「一、各省庁においては、(一)弔旗を掲揚すること。(二)葬儀中の一定時刻に黙とうすること。二、各公署等においても、前項と同様の方法により哀悼の意を表するよう協力方を要望すること。」と記載されている。

 また、吉田茂元総理の国葬儀においては政府と各報道機関との折衝が行われ、報道機関との間で、取材方法などに関する取材協定が結ばれ、取材要領によれば、「一、国葬儀の取材上の便宜を受けられる社は、次の組織に加盟している社および葬儀委員会(以下「委員会」という。)が認めた社とする。(一)日本新聞協会加盟社(二)民放連加盟社(三)日本ニュース映画協会加盟社」とされた。

 さらに、国葬儀委員会は昭和四十二年十月二十五日、「四、ラジオ・テレビなどに協力を求める」と定め、当時の報道によれば、「戦前の国葬のように歌舞音曲の類を一切禁止することはできないが、この点についても協力を呼びかけることにしている。(中略)NHK、民放とも、葬儀を実況中継するとともに、葬儀の前後、国葬にふさわしくないと思われるドラマ、歌謡ショー、CMなどはやめる。その他の時間帯でも弔意表明の線で番組を組替えるという」(朝日新聞、昭和四十二年十月二十五日)と報じられていた。

 右を踏まえて、以下質問する。

一 吉田茂元総理の国葬儀においては、当時の木村俊夫官房長官は昭和四十二年十月二十一日の記者会見で「「国葬令」が失効しているので、歌舞音曲を禁止することはむろんできないが、国民の自粛に期待したい。」との談話を発表している。さらに前述の十月二十五日の「公の行事、儀式その他歌舞音曲を伴う行事はさしひかえること」という閣議了解に続き、国葬儀委員会が十月三十日「国民各位へのお願い」にて、「当日は、各省庁においては弔旗を掲揚し、歌舞、音楽をともなう行事はさしひかえますので、これに準ずるように期待します」と発表した。安倍晋三元総理の国葬儀においても、国民に対し歌舞音曲について同様の自粛を「期待」するのか。自粛を「期待」しないのであれば、吉田茂元総理の国葬儀の際と国民への要請が異なるのはなぜか。

二 佐藤榮作元総理の国民葬儀においては、①弔旗掲揚、②黙とう実施を閣議了解による政府の方針とし、一般に協力が要請された。安倍晋三元総理の国葬儀においても、同様の方針を定め、一般に対して要請を行うのか。行わないのであれば、佐藤榮作元総理の国民葬儀の際と一般への要請が異なるのはなぜか。

三 安倍晋三元総理の国葬儀においても、「取材上の便宜」を受けられる社は制限されるのか。例えば組織に所属しないフリーの記者などは便宜を受けられるのか。ラジオ・テレビなどに「葬儀を実況中継するとともに、葬儀の前後、国葬にふさわしくないと思われるドラマ、歌謡ショー、CMなどはやめる。その他の時間帯でも弔意表明の線で番組を組替える」旨の「協力を求め」るのか。求めないのであれば、吉田茂元総理の国葬儀の際とラジオ・テレビなどへの要請が異なるのはなぜか。

  右質問する。