質問主意書

第209回国会(臨時会)

質問主意書

質問第五号

車椅子利用者における新型コロナウイルス感染症の宿泊療養に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年八月四日

塩村 あやか


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   車椅子利用者における新型コロナウイルス感染症の宿泊療養に関する質問主意書

 新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養のための宿泊施設(以下「宿泊療養施設」という。)は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成十年法律第百十四号)に基づき、都道府県等において運営されている。障害者の宿泊療養に関しては、厚生労働省から都道府県等に対して発出された事務連絡「障害者に係る新型コロナウイルス感染症に対応した宿泊療養の運営について」(令和三年六月十六日厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課)(以下「令和三年六月十六日事務連絡」という。)において、「各都道府県等においては、新型コロナウイルス感染症への感染が疑われる障害者の方々に対して、宿泊療養(又は自宅療養)を実施する際には、障害特性に応じた合理的配慮の提供が必要となります」とされている。また、山際国務大臣は令和四年一月十九日の参議院議院運営委員会において、宿泊療養等に関する障害者への合理的配慮の重要性につき、「障害をお持ちの方に対してどう配慮するかという視点はより重要になるかなと。特に、その感染の裾野が広がるということを考えますと、よりこれから重要になると思いますので、その視点も議論の中にしっかり盛り込んでまいりたい」と答弁している。

 こうした政府の見解にもかかわらず、例えば東京都において、車椅子利用者が宿泊療養を希望したが、車椅子利用者は自立して生活ができないという理由により断られたという事例があったと承知している。新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中、新型コロナウイルス感染症に感染した車椅子利用者が宿泊療養を希望した場合に同様の事例が発生することが懸念される。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一 車椅子利用者においては、常時介助が必要な方、基本的には介助を要せず一人で生活可能な方など障害の程度等によって様々な方がおり、例えば、車椅子でも利用しやすいバリアフリーの部屋を提供する、車椅子で移動しやすいよう個室内の家具の配置を変更するといった配慮があれば、一人での宿泊療養が可能な場合もあると考えられる。にもかかわらず、都道府県等が、障害の程度等にかかわらず、車椅子を利用していることのみをもって一律に新型コロナウイルス感染症の宿泊療養に支障があると判断し、宿泊療養施設の利用を断ることは不適切であると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(平成二十五年法律第六十五号)は、第七条第二項において、「行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。」としている。前述の令和三年六月十六日事務連絡では、宿泊療養等における障害特性に応じた合理的配慮の提供例として聴覚障害者に関する例が示されているが、車椅子を利用する障害者に対しても、都道府県等は、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害の特性に応じた合理的配慮を提供する必要があると解されるか。政府の見解を示されたい。

三 車椅子利用者が必要に応じて宿泊療養施設を円滑に利用できるようにするために、政府がこれまで行ってきた取組及び今後の取組方針を具体的に示されたい。

  右質問する。