質問主意書

第209回国会(臨時会)

質問主意書

質問第三号

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則の解釈に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年八月三日

塩村 あやか


       参議院議長 尾辻 秀久 殿



   特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則の解釈に関する質問主意書

 令和三年に成立した特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律(令和三年法律第二十七号)では、新たにログイン時等の通信に係る発信者情報の開示に関する規定等が設けられた。その規定に関し詳細を定めた同法律の施行規則が令和四年五月二十七日に公布された。

 そこで、以下質問する。

一 令和四年三月十五日に総務省が公表した特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則案(以下「規則案」という。)では、第五条柱書において、「侵害情報の送信の直近に行われたもの」を侵害関連通信としていたが、令和四年五月二十七日に総務大臣が公布した特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則(以下「規則」という。)では、第五条柱書において、「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」に修正された。また、規則案第五条第二号の「当該侵害情報の送信より前に」及び同条第三号の「当該侵害情報の送信より後に」が規則の第五条第二号及び同条第三号では削除された。

 従前の裁判例では、権利侵害投稿の後に割り当てられたIPアドレスから把握される発信者情報であっても、当該権利侵害投稿の発信者のものと認められるのであれば、権利の侵害に係る発信者情報に当たり得るとしているものもある。

 そこで、今般の規則案から規則への修正により、従前の裁判例と同様にログイン通信を行った者と権利侵害投稿を行った者との間に同一性が認められる場合であれば、引き続き開示対象となるという理解で良いか、政府の見解を示されたい。あわせて、規則案の内容から規則の内容へ修正した趣旨を示されたい。

二 令和四年五月二十七日に総務省が公表した「「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則案」に対する意見募集結果」の考え方六―二では、「本施行規則案第五条各号の要件を満たす通信が各号ごとに複数存在する場合は、そのうち「侵害情報の送信の直近に行われたもの」が侵害関連通信に該当します。また、「直近」とは、特定電気通信役務提供者が通信記録を保有している通信のうち、例えば、侵害情報の送信と最も時間的に近接して行われた通信等が該当し、当該通信記録が一定期間より前のものであることだけを以て一律に直近性が否定されるものではありません。こうした点などを明らかにするため、「送信の直近に行われたもの」を「送信と相当の関連性を有するもの」に修正します」と記載されている。

 この考え方を踏まえて修正された規則において、従前の裁判例にあるように、ログイン通信を行った者と権利侵害投稿を行った者との間に同一性が認められる場合は、最も時間的に近接して行われた通信等でなくとも、「送信と相当の関連性を有するもの」に当たり得るという解釈なのか、若しくは最も時間的に近接して行われた通信等しか侵害関連通信には該当しないという解釈に変更しているのか。また規則第五条各号の要件を満たす通信が複数ある場合には、直近一件しか侵害関連通信として認めないという解釈なのか、若しくは送信と相当の関連性を有するのであれば、複数件を侵害関連通信として認める場合があるという解釈なのか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。