質問主意書

第208回国会(常会)

答弁書

内閣参質二〇八第四五号
  令和四年五月二十日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員浜田聡君提出暗号資産モナコインの譲渡等に係る税務上の取扱いに関する第三回質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出暗号資産モナコインの譲渡等に係る税務上の取扱いに関する第三回質問に対する答弁書

一について

 御指摘の事例における所得税及び住民税の課税と贈与税の課税については、納税義務者や課税の性格等が異なっており、「憲法上の問題が生じるおそれがある」との御指摘は当たらないと考えている。

二について

 所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)は、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)に係る政令であり、贈与税の計算上、直ちにその規定の適用はないものと解される。

 いずれにせよ、相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)上、贈与により取得した暗号資産の価額は時価であるところ、活発な市場が存在する暗号資産については、客観的な交換価値が明らかとなっていることから、その時価は、動産の評価方法を定めた「財産評価基本通達」(昭和三十九年四月二十五日付け直資五十六、直審(資)十七国税庁長官通達)第六章における百三十三に定める評価方法ではなく、外国通貨の評価方法に準じて、当該贈与により取得した暗号資産に係る暗号資産交換業者の公表する当該贈与の時の取引価格によって評価することとしている。

三について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、所得税法上、贈与又は相続により取得した外国通貨の取得価額について、贈与又は相続の時においてその贈与者又は被相続人がその外国通貨につきよるべきものとされていた評価の方法により評価した金額とする取扱いは、同法における暗号資産や有価証券の取得価額に関する規定を踏まえたものである。

四について

 毎年度の税制改正については、政令への委任規定を含めたその法律案を国会において御審議いただいた上で行われているものであり、適切なものと考えている。

五について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「当該資産の取引価格(客観的な交換価値)」は、一般的には、その資産が取引される市場により判断されるものと考えている。

六及び七について

 先の答弁書(令和四年四月二十八日内閣参質二〇八第三九号)四についてで述べたように、現時点では、暗号資産について、仮に、支払手段としての性質のほかに、資産の価値の増加益が生じる性質があるとしても、当該性質については、一般に独立した経済的価値が認められて取引の対象にされているとは考えていないところである。こうしたことから、暗号資産について、所得税法第三十三条第一項に規定する「資産」には該当しないものとして取り扱っている。