質問主意書

第208回国会(常会)

答弁書

内閣参質二〇八第五号
  令和四年一月二十八日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員田島麻衣子君提出骨髄移植等と予防接種に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員田島麻衣子君提出骨髄移植等と予防接種に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「再接種」(以下「再接種」という。)に係る費用の助成を行っている地方公共団体があることは承知している。

二について

 予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)に基づく予防接種は、伝染のおそれがある疾病の発生及びまん延を予防するという目的を達成するため、各疾病に罹(り)患しやすい年齢等を踏まえ、予防接種の対象者や回数等を予防接種法施行令(昭和二十三年政令第百九十七号)等において定めた上で実施している。その上で、所定の回数の予防接種を受けた者が医療行為により免疫を失った場合については、同法においてこれまで想定されていなかったところ、再接種を同法に位置付けることについては、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会において、「集団予防の目的ではなくて、個人予防の目的になっていくわけですから、そこをどう考えるか」という課題や、「造血幹細胞移植だけではなくて、そのほかにも免疫を失う人は多くいるわけで、その人たちとの違いをどう考えていくか」という課題が示されている一方で、「副作用の問題等々を考えると、定期接種化して、ちゃんとフォローしたほうがいいのではないか」という意見も示されており、同部会において、引き続き検討することとしていることから、御指摘の「骨髄移植等の造血幹細胞移植による治療を受けた者」については、現在、対象者としていないものである。

三について

 健康保険法(大正十一年法律第七十号)は、疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して療養の給付等の保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的としているところ、疾病に対する予防である再接種については、現に発生している疾病の治療とは異なり、同法の目的に適合しないことから、保険給付の対象としていないものである。

四について

 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会は、厚生科学審議会令(平成十二年政令第二百八十三号)第五条の規定に基づき、予防接種施策全般について、中長期的な課題設定の下、科学的な知見に基づき、総合的・継続的に評価・検討を行い、厚生労働大臣に提言することをその設置の趣旨としている。同分科会の議題については、当該設置の趣旨に基づき、適切に判断されるものであるが、御指摘の「令和二年一月二十七日の厚生科学審議会」以降は、感染症の流行状況等を踏まえ、新型コロナウイルス感染症への対応等について検討を行っていたところである。

 二についてで述べたとおり、再接種を予防接種法に位置付けることについては、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会において、引き続き検討してまいりたい。