質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第八四号

成人年齢引下げに伴う若年者の金融取引の保護と金融経済教育に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年六月十五日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   成人年齢引下げに伴う若年者の金融取引の保護と金融経済教育に関する質問主意書

 民法改正により、今年四月一日から成人年齢が十八歳に引き下げられた。知識や経験の浅い未成年者を保護するため、法定代理人である親は未成年者が行った契約を取り消すことが認められていた。しかし、四月以降は十八歳・十九歳であっても未成年ではないため、親の取消権による保護は及ばなくなる。これにより、従来は未成年者として保護されていた十八歳・十九歳の若者が悪質な消費者被害に巻き込まれ、救済が難しくなることを懸念する声がある。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 国民生活センターによる相談情報の集計では、契約当事者が二十歳から二十二歳までの場合の特徴として、十八歳・十九歳の場合と比較して「フリーローン・サラ金」や「ファンド型投資商品」についての相談が少なからず見られるようになる。この点は、消費者委員会が昨年十二月に公表した意見においても、成年年齢引下げ後には二十歳代初めの消費者被害が十八歳及び十九歳の年齢層にも拡大していくことに強い懸念を示しているところである。

 今年一月七日の「成年年齢引下げに関する関係閣僚会合」では、若年者の消費者被害等を防止するための主な施策の一つとして、取引の相手方となる事業者へのアプローチのための関係業界への働きかけを行うこととされている。成人年齢の引下げ後の金融分野での被害防止に向けて、各業界団体・自主規制機関への要請を含め、どのような対応を行っているのか。

二 二〇一八年に改訂された高等学校学習指導要領により、今年四月から高等学校の家庭科と公民科を中心に、資産形成にも触れた金融教育が行われるようになる。「成年年齢引下げに関する関係閣僚会合」においても、若年者を狙った悪質商法等に対抗するための能力の獲得のため、新学習指導要領に基づき消費者被害の防止や救済を深める教育がなされるよう、学校現場への周知徹底などを行うこととされた。

 金融庁では、二〇一三年四月の金融経済教育研究会報告書、同年十一月の「最低限身に付けるべき金融リテラシー」の公表など、金融経済教育の充実に向けた対応を行ってきた。しかし、金融広報中央委員会が二〇一九年七月に公表した金融リテラシー調査の結果によれば、学校等での金融教育を受ける機会がなかったとの回答が七十五パーセントに達し、学校での金融教育が浸透しているとはいえない状況であった。世代を問わずに金融リテラシーの向上はもちろん必要なことではあるが、特に若年層への教育については引き続き課題といえる。

 成年年齢の引下げ、新学習指導要領の適用を契機に、若年者に対する金融教育の充実に向けてどのように取り組んでいくのか、政府の見解を伺う。

  右質問する。