質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第八一号

企業の情報開示の現状と改善に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年六月十五日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   企業の情報開示の現状と改善に関する質問主意書

一 企業の情報開示について、岸田内閣総理大臣が四半期開示の見直しを繰り返し言及し、鈴木財務大臣の所信においても表明されているところである。

 四半期開示制度については、かねてから投資家や企業の短期的利益志向を助長するとの指摘があり、関西経済連合会などから義務付けの廃止を求める意見書が公表されたこともあった。岸田内閣総理大臣も国会答弁で「企業が長期的な視点に基づいて物事を考えていただくという点において、大変意義のある課題」と述べているが、実際にはどうかという点では、現時点の国内外の研究でも判断が分かれていることが指摘されている。企業の長期的な視点での経営と四半期開示の見直しの関係についてどのように考えているのか、政府の認識を伺う。

二 企業の情報開示について、四半期開示の見直しの理由として、上場企業側の負担が重いことも挙げられる。ただ、四半期開示制度の義務付けがなくなったイギリスやフランスでは、大半の企業が自発的に四半期開示を続けていると見られている。また、日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者は、昨年十月の記者会見で、仮に四半期開示が廃止されたとしても、多くの上場企業は、四半期開示を続けるのではないかと思われると述べている。

 仮に四半期開示制度を単に廃止しても、投資家から情報開示に後ろ向きであるとの評価を受けないように上場企業が従来どおりの対応を続けたのでは、企業側の負担の解消にはつながらない。むしろ、企業の負担を軽減しつつ、開示される情報の質を向上させるという観点から議論されるべき課題と考える。

 金融商品取引法に基づく有価証券報告書や四半期報告書といった継続開示書類は、証券取引所の規則に基づく適時開示として公表される決算短信の内容と重複する部分も多いことが指摘され、二〇一六年に公表された金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループの報告書を受けて決算短信等の簡素化が実施された。近年は気候変動への対応など、非財務情報開示も求められている。

 継続開示書類と決算短信のなお一層の重複部分の整理を行い、新たな非財務情報開示とともに充実を図るなど、上場企業と投資家・市場関係者の双方にメリットのある制度の在り方を検討していくことが必要だと考えるが、政府の認識を伺う。

  右質問する。