質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第八〇号

国際金融センターとしての市場機能強化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年六月十五日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   国際金融センターとしての市場機能強化に関する質問主意書

一 国際金融センターとしての日本の金融市場の競争力を強化するための取組は、一九九六年十一月に始まった日本版金融ビッグバン以降、長年にわたって続けられている。しかしながら、ニューヨークやロンドンに比肩する市場という日本版金融ビッグバンで掲げられた目標を達成するには、なかなか至らないのが現状である。

 イギリスのシンクタンクが公表している国際金融センター指数によると、昨年九月の東京は第九位となっている。二〇二〇年三月には、香港情勢などの影響もあり、東京が第三位まで上昇したが、その後は後退している状況である。

 政府は、二〇二〇年七月に閣議決定した骨太方針二〇二〇の中で「海外金融機関等の受入れに係る環境整備等により、世界中から優秀な人材や資金、情報を集め、世界・アジアの国際金融ハブとしての国際金融都市の確立を目指す」との方針を示し、これを受けて令和三年度税制改正や金融商品取引法等の改正により具体的な措置が講じられた。東京のほか、大阪や福岡においても国際金融都市を目指した取組が進められている。

 今後は、海外から参入しやすい環境の整備に加え、サステナブルファイナンスへの取組などを通じて、市場そのものの機能や魅力を高めていくことが引き続き重要であると考えるが、政府の認識を伺う。

二 日本の現物株式市場として最大の規模である東京証券取引所では、従来の市場第一部・第二部・マザーズ・ジャスダックといった市場区分を再編し、本年四月四日から「プライム市場」、「スタンダード市場」、「グロース市場」の三つの市場区分により運営されることとなった。

 東京証券取引所は、二〇一三年七月の大阪証券取引所との現物株式市場の統合などの影響もあり、市場第一部の上場維持基準の緩さや新興企業向け市場のコンセプトのあいまいさなどが指摘されるようになっていた。新たな市場区分では、「プライム市場」がいわゆるグローバル企業向けの市場として、新規上場基準・上場維持基準とも厳しく設定されることになったが、これまでの市場第一部上場会社については、基準を満たさない場合でも適合に向けた計画書を開示することで「プライム市場」に移行する経過措置が認められた。そのため、市場第一部上場会社の八割以上が「プライム市場」に移行することとなり、経過措置の期限が定められていないことも含めて、再編の実効性に課題があると指摘されている。

 国際金融センターとしての中核的な存在となる東京証券取引所の市場再編の現状について、政府の評価を伺う。

  右質問する。