質問主意書

第208回国会(常会)

質問主意書

質問第七六号

経済・財政運営の基本方針に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和四年六月十五日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   経済・財政運営の基本方針に関する質問主意書

一 新型コロナウイルス感染症等の影響に対して、政府は数次にわたる経済対策・補正予算編成などを行い、感染拡大を抑えるためのワクチン接種や医療体制の整備のほか、経済面で打撃を受けている個人や企業向けの支援を実施してきた。しかし、政府の対策では、防御機能の弱い布マスクの大量の在庫に保管費用がかかったり、感染拡大期には再開が困難であるGo To トラベル事業に多額の未執行予算が積み上がったりするなど、直面する状況に応じた効率的な対策とは言いがたいものも多く含まれている。

 会計検査院は、令和二年度決算検査報告で、新型コロナウイルス感染症関連の事業について多額の繰越額や不用額が計上されていることを指摘した。コロナ禍での経済対策や補正予算の効果と問題点をどのように認識し、今後の財政運営に反映させていくのか、政府の見解を伺う。

二 コロナ禍への対応として、短期的に財政規模が膨らむこと自体はやむを得ないにしても、各歳出項目の政策効果を見極めていく「ワイズスペンディング」がより求められるものと考える。政府もワイズスペンディングの考え方を示しており、骨太方針や財政制度等審議会の建議においても明記している。しかし、決算検査報告で明らかにされた新型コロナウイルス感染症関連の事業をはじめ、これまでの予算編成で徹底されていたかどうかは疑問である。

 ワイズスペンディングの徹底のためには、その場限りの対応ではなく、政策目標を明確化して合理的根拠に基づき政策立案を行うべきとするEBPMの考え方を、予算編成においても徹底すべきではないか。加えて、政府に中立的な立場から、財政見通しの試算や予算の妥当性を検証する独立財政機関の設置も必要であると考える。

 ワイズスペンディングの徹底と独立財政機関の必要性について、政府の見解を伺う。

三 国際通貨基金(IMF)は、対日経済審査を終えた本年一月二十八日に、「終了にあたっての職員の声明」を公表し、「短期的には、脆弱な世帯を救済しパンデミックによる経済への恒久的なダメージを防ぐために、政策支援の継続が正当化される」とした上で、今後の財政政策について「回復が本格化した際には、財政バッファーを徐々に再構築し、中長期的な債務持続可能性を確保することが重要となる」との認識を示した。特に、大型の補正予算が頻繁に編成され、当初予算からの歳出の上方修正につながっていることについて、「補正予算による追加支出は、パンデミックのような予想外の大規模なショックへの対応に限定されるべきである」と指摘している。

 補正予算の編成に当たっては、財政法において「特に緊要となった経費の支出」という要件が課されているが、実際にはコロナ禍以前から、当初予算で計上できなかった費目が補正予算に盛り込まれるなど、緊要とは言えないものが計上されているとの疑問がしばしば出されている。今後の財政運営に当たって、IMFのこれらの指摘をどのように受け止めていくか、政府の見解を伺う。

  右質問する。